質問5 発達障害のある子が小学校に上がるとき、どのような選択肢があるのでしょうか。(学童期)

回答5 こどもに発達障害がある場合に、多くの親たちが直面し悩まれるのが小学校の就学先選びではないでしょうか。限られた選択肢の中で、どれがこどもにとって最善なのか誰しも気になるところです。
では発達障害のある子が小学校に上がるとき、現在の制度では、通常の学級とは別に、特別支援教育という「将来の自立と社会参加を目標とする」教育制度を利用することができます。

目次
就学先の選択肢
就学相談について
    就学相談から就学先が決まるまで
        1.《申し込み》
        2.《面談》
        3.《こどもの行動観察》
        4.《就学支援委員会での審議》
        5.《所見を踏まえた面談》
        6.《就学通知

就学先の選択肢

発達障害のある子が小学校に上がるとき、4つの選択肢があります。
まずは、大勢の子とともに学ぶ「通常の学級」です。担任の先生と相談をしながらできる範囲で配慮を受けられます。
個別の支援を手厚く受けたい場合は、特別支援教育があります。特別支援教育は、お子さんの特性や状況に応じて3つの選択肢通級指導教室」「特別支援学級」「特別支援学校があります。

通級指導教室》
《通級指導教室》では、普段は「通常の学級」に在籍しながら、必要に応じて指導を受けることができます。多くの時間は通常の学級で過ごし、週に数時間、別の教室へ移動して、苦手な音読の指導を受けたり、社会性を学ぶためのグループ活動をしたりするなど、こどもにあった指導を受けます。
《特別支援学級》
《特別支援学級》とは、発達障害のある子や、知的障害のある子など、障害の種類によってクラス分けされた小・中学校の中に特別に設置された少人数の学級です。こどもの状況や保護者の要望に応じて、特別なカリキュラムを組んで学習することもできます。基本的には、特別支援学級で過ごしますが、校内の「通常の学級」へ移動し、同じ学年のこどもたちと交流する機会もあります。
《特別支援学校》
《特別支援学校》は、1クラス最大6人の少人数制で、バリアフリー化されているなど、施設も整っています。専門性の高い教員の指導を受けられますが、学校の数が少ないため、ほとんどのこどもたちは地域から出て通うことになります。特別支援学校は、視覚、聴覚、知的の障害者や、肢体不自由者、病弱者の教育を行う学校で、幼稚園~高校まであり、盲学校や聾学校、養護学校も含まれます。

就学相談について

入学先に迷う親子のために、各自治体では就学相談を行っています。こどもと保護者が、専門の相談員に進学の不安を相談できる場です。原則として、こどもとその保護者の意向は尊重されますが、最終的には地域の教育委員会が進学先を決定します。

就学相談から就学先が決まるまで

就学相談は各市区町村によってその方法や内容が大きく異なります。以下、大まかな流れを記しましたが、あくまで参考としてご確認ください。

1.《申し込み》

就学相談は、基本的に就学時健康診断のように通知が来ることはありません。こどもの発達や障害が気になる場合や、こどもの就学先を相談・検討したい場合は、保護者の方が自ら就学相談を申し込む必要があります。
申し込みの方法は市区町村によって違います。
一つには電話で直接、市区町村の教育委員会へ連絡し、面談の日程などを決める方法です。
二つには、通っている幼稚園や保育園を通じて申し込む場合です。その場合は、幼稚園や保育園の先生に相談するようにしてください。

2.《面談》

申し込み時に面談の日程を決めます。面談は市区町村によりますが、複数回実施されることが多いようです。ここでは、こどもの生育歴や診断書などをもとにお子さんの様子や保護者の希望を聞かれます。あらかじめ、質問票や所定の書類に必要事項を記入しておく必要がある場合もあります。

また通わせる親にとって知っておきたいこと、例えば、学級の人数、受けられる支援や歩いて通える範囲にあるかどうか、通級、支援級、支援学校でどのような支援が受けられるか、より具体的に聞いておくことも大切です。また、希望の学級・学校の見学、体験ができるかどうかも聞いてみてください。

一つには、各々の学事日程を調べ、公開日や参観日を確認して行く方法。
二つには、市区町村の教育委員会を通して各々の学校へ見学、体験を申し込む方法。
以上の二つの方法が一般的ですが、お住まいの地域によって違うことがあるので、面談の時に聞いてみてください。
見学中、体験中には、どんな課題のあるこどもにどんな工夫や支援がされているのか聞いてみてください。

3.《こどもの行動観察》

就学支援委員会の方が、幼稚園や保育園でのこどもの様子を見に来ます。集団の中でのお子さんの様子や、情緒の様子を観察します。

4.《就学支援委員会での審議

面談での様子、いままでの生育歴、医師や心理士の診察の結果、幼稚園・保育園での行動観察の結果をもとに、就学指導委員会でどこへ就学することがよいかを審議します。

5.《所見を踏まえた面談》

上記の審議の結果を踏まえて、保護者の方と今後の就学先について話し合います。こども自身の希望も聞きながら、なぜその就学先を希望するのかを明確にして面談を受けてください。

6.《就学通知》

面談や話し合いの結果、最終的に就学する学校が1月31日までに通知されます。この通知が最終決定ではなく、保護者の希望に沿わない場合は再度面談がなされることもあります。

《その他》
以上、お子さんの就学前に知っておきたい就学先や手続きについて説明しました。なお、学校以外の支援には、放課後等デイサービスのように放課後や学校休業日に利用できる福祉サービスもあります。本ホームページ内の「放課後等デイサービスとは何か?」をご覧ください。