特別支援学校から高卒資格を目指すには

目次
特別支援学校高等部とは
大学受験資格はあるが、高卒資格は取れない
    第1章「総則」第1条
    第8章「特別支援教育」第72条
特別支援学校の生徒が高校卒業資格を取得するには

中学の特別支援学級から特別支援学校高等部へ入学し、卒業しても、残念ながら高卒資格は取れません。ここでは、そうした人が高卒資格を取得する方法をご紹介します。

特別支援学校高等部とは

特別支援学校は、障害や病気を抱えた生徒が、自立を図るための知識や技能を習得するための学校です。国語、数学、英語、体育、音楽など、通常の高校で受ける教科のほか、生徒一人一人の能力を伸ばし、障害があっても自立して生きていくための教育なども行っています。
発達障害のある生徒が特別支援学校に入学した場合、学習内容が自分のレベルに合わず、不登校になってしまう生徒も多くいるようです。

大学受験資格はあるが、高卒資格は取れない

注意したいのは「特別支援学校を卒業しても、高校卒業の資格を得ることはできない」という点です。特別支援学校高等部を卒業した場合、「特別支援学校高等部卒業」という資格が得られ、12年間の学校教育を修了したという証明になるため、この資格があれば大学受験をすることができます。
しかし、これは高卒資格とは別のものなのです。授業に自立活動という領域を設けていたり、各教科を学ぶ時間総数に高校との差があったりするため、高卒資格とはなりません。その理由を詳しく解説するためには、まず特別支援学校高等部がどういった立ち位置にあるのかを理解する必要があります。

第1章「総則」第1条

「この法律で、学校とは、幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校とする」

第8章「特別支援教育」第72条

「特別支援学校は、視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、肢体不自由者又は病弱者(身体虚弱者を含む。以下同じ。)に対して、幼稚園、小学校、中学校又は高等学校に準ずる教育を施すとともに、障害による学習上又は生活上の困難を克服し自立を図るために必要な知識技能を授けることを目的とする」
参照:文部科学省「学校教育法」

特別支援学校高等部も当然学校として定められており、そこを卒業することで「特別支援学校高等部卒業」の学歴が認められます。しかし、「特別支援学校」の記述には、「幼稚園、小学校、中学校又は高等学校に準ずる教育」とあり、「同等の教育」とは書いていません。
つまり、特別支援学校を卒業した生徒は中卒資格しか持ち合わせていないことになってしまいます。そのため、「特別支援学校高等部卒業」の学歴は高校卒業と同等のものであるとはみなされず、高卒の学歴を得ることはできないのです。
ですが、高卒の学歴はもらえなくても、大学受験資格を得ることは可能です。文部科学省の定める大学入学資格は、以下の2つのうちいずれかを満たすものとなっています。

1、高等学校又は中等教育学校を卒業した者(法第90条第1項)
2、特別支援学校の高等部又は高等専門学校の3年次を修了した者(法第90条第1項)

参照:文部科学省「大学入学資格について」

特別支援学校の生徒が高校卒業資格を取得するには

高校卒業資格を取得し、無理なく通えるのが通信制高校です。特別支援学校を一度辞めて、入学し直す必要はありますが、学ぶ場を変えることで、納得した環境で落ち着いて学ぶことができます。学校によっては、課外活動やさまざまな体験ができる授業も用意されているので、そうした授業を通して才能が開花することもあります。生徒の個性や状態に合わせてカリキュラムを組んでくれる学校は限られています。せっかく芽生えた学習意欲や卒業資格取得への意欲をそがないためにも、学校選びは重要です。そういった意味でも、障害や個人の資質に理解のある先生やスタッフが常駐する通信制学校はお勧めです。