不登校中のすごし方

目次
1.不登校の昼間のすごし方
        ①まずは休養させる
        ②生活リズムをなるべく崩さない
        ③勉強の強制やスマホの制限はNG
        ④ある程度、気力と体力が回復してきたら
        ⑤家庭内での役割を与える
        ⑥得意なことを見つけて伸ばす
        ⑦塾や習い事などの活動に参加する
        ⑧登校刺激を与えた方がいい?
    ここまでのまとめ

2.不登校の時間を有意義にすごすアイデア
    勉強面では通信制高校のサポート校なども活用しては
最後に…

「こどもが不登校になって、どう過ごさせればいいのかわからない」
「学校に登校することを促した方がいいのか、今は様子を見た方がいいのか迷っている…」
このような悩みを持っているご家族は多いはずです。以下では、不登校のすごし方について解説していきます。

1.不登校の昼間のすごし方

本来であれば学校ですごしている昼間ですが、不登校になると家ですごすことになります。不登校から学校復帰までにはステップがあり、それに応じてすごし方も変えていく必要があります。

①まずは休養させる

不登校になった直後は、心も体もストレスを抱えています。
まずはゆっくり休養し、元気を回復させることが大切です。
最終的に学校に戻るためにも、たくさん寝たり本人が好きなことをする機会にできると良いでしょう。

②生活リズムをなるべく崩さない

ゆっくり休養しなければいけない時期に最も注意したいのが、昼夜逆転です。
一度昼夜逆転してしまうと戻すのが大変な他、生活リズムがご家族と合わなくなりコミュニケーションの機会が減り、結果不登校が長引くことに繋がってしまいます。
なるべく午前中のうちに起きる、夜は日付が変わる前には布団に入るなど、生活リズムをなるべく崩さないようにしましょう。
とはいえ、学校に行かなくなると朝起きるのが嫌になることもあります。
「あぁ、この時間にみんなは登校しているんだよな」
「本当は学校に行かなくちゃいけないんだよな」
などと考えてしまうので、朝起きるのを避けるようになります。
無理に早起きさせる必要はありません。学校に行くときと同じ時間でなくていいので午前中には起きるように、そして毎日だいたい同じ時間に起きることができれば問題ありません。起きる時間がまちまちだったり、午後に起きて明け方に寝るような場合は改善した方が良いでしょう。

③勉強の強制やスマホの制限はNG

学校に戻った際に勉強面で遅れないか不安に思うこともあるかもしれませんが、この時期に勉強の強制をするのはNGです。本人が勉強したいと言うのであれば止める必要はありませんが、勉強自体が学校のことを思い出す引き金になっている可能性もあります。無理やり勉強をさせるのは避けましょう。
1日中スマホやゲームをしている場合も、無理に取り上げたり時間を制限してしまうと、お子さんの拠り所や居場所がなくなってしまうことがあります。ゲームやスマホに関しては時間を制限するというよりも「○○をしてからゲームをしよう」「スマホをする前に○○をやっちゃおう」などと、生活リズムに紐づけることが大事です。「やることさえやれば、後はゲームでもスマホでも自由にすごしていい」という枠組みを入れることが大事です。

④ある程度、気力と体力が回復してきたら

ゆっくり休養し心と体を休めると、お子さんに笑顔やコミュニケーションが増えてくると思います。
このようにある程度、気力と体力が回復してきたら、次段階として少しレベルアップして、徐々に負荷をかけていくと良いでしょう。

⑤家庭内での役割を与える

掃除や洗濯などの基本的な家事をお子さんに任せるなど、家庭内での役割を持たせてみましょう。
「朝9時までに洗濯を干す」、「昼食を自分で作る」など毎日行う役割ができると、自然と生活リズムも作ることができます。

⑥得意なことを見つけて伸ばす

お子さん自身が興味のあることを、目標を立てて取り組ませてみると良いでしょう。
例えば、絵を描くことが好きなのであれば期日とお題を決めて絵を描き上げる、ゲームやパソコンが好きなのであれば親子でプログラミングを学んでみるなど、とにかく本人が好きなことであれば何でもokです。
不登校という長期休みを利用して取り組んだことは将来に繋がり、学校復帰後もお子さんにとっての自信になるでしょう。

⑦塾や習い事などの活動に参加する

学校以外で家の外との繋がりが欲しくなったら、塾や習い事などの活動に参加するのも手です。
学校では出会えないような友達や仲間ができることによって、その場所がお子さんにとっての「居場所」となる可能性もあります。

⑧登校刺激を与えた方がいい?

お子さんが家の中で楽しく過ごせるようになるまで回復すると、ご家族はやはり「学校に行ってほしい」といった気持ちが出てくると思います。
しかし適切でないタイミングで登校刺激を与えてしまうと、せっかく回復していた心が以前の状態に戻ってしまったり、トラウマがフラッシュバックしてしまう可能性があります。
お子さんの心が回復してきて、外出や家庭内の役割を問題なくこなせるようになった段階で「学校に行きたくなったらいつでも応援するからね」などの言葉をかけるくらいが良いでしょう。

ここまでのまとめ

このように、不登校の昼間のすごし方には大きく分けて「休養する期間」と「学校復帰に向けた期間」の2つのステップがあります。まずはお子さんが家庭内で安心して過ごせるような環境をつくることが、不登校問題解決の第一歩となります。

2.不登校の時間を有意義にすごすアイデア

「何かをしてみたい」という意欲が自然とわいてきたら、不登校中ならではのすごし方を考えてみるとよいでしょう。自分自身が好きで興味のあることをするのが第一ですが、ここでは、具体的なすごし方のアイデアをご紹介します。

本や音楽、映画などの作品を楽しむ

純粋に作品を楽しめるのはもちろん、作品に触れる中でリフレッシュ、リラックスすることができます。時には新しい知識を得られたり、視野が広がったりすることもあるかもしれません。

イラスト、工作、手芸、楽器の演奏などクリエイティブなことをする

自分自身の手で何かを作り上げる中で、やりがいや達成感を得られます。ひとつのことに打ち込む集中力を取り戻すのにも役立つでしょう。また、ゲームもやり方を工夫すれば、目標を達成するやりがいを感じることができます。

掃除、料理、洗濯など家事を手伝う

家族という小さな「社会」の中で役割を果たす家事は、社会復帰への第一歩だといえます。家族に頼られたり、感謝されたりする中で、自信を取り戻していくこともできるでしょう。

勉強する

無理のない範囲で、自主学習を始めてみるのもひとつの手です。学校復帰しやすくなるだけでなく、仮に元の学校には戻れなくても、将来に向けて勉強を続けるモチベーションにつながるでしょう。

散歩、ジョギングなど軽い運動をする

気分転換になると同時に、体力をつけるためにも有効なすごし方といえます。独りでは気が向かないときは、家族とやってみるのもおすすめ。平日の日中は人目が気になるという場合には、時間帯を工夫してみたり、室内でできるエクササイズをしたりしてもよいでしょう。

勉強面では通信制高校のサポート校なども活用しては

不登校中のすごし方の中でも、「勉強はやっておきたい」と考える人は多いでしょう。一方で、自宅での自主学習はなかなか難しいと感じることも少なくないと思います。そうした場合には、専門機関・支援施設を利用し、家の外に足を運んで勉強するのもおすすめです。利用できる期間や施設には、次のようなものがあります。
個別指導塾や家庭教師など民間の教育機関
適応指導教室など公的な不登校支援施設
通信制高校での学習を支援するサポート校
通信制高校に入学し、自分のペースで学びながら高校卒業資格の取得を目指す場合には、サポート校が自主学習やレポート作成の力になってくれます。こうした施設で友だちができれば、学校以外にも居場所を作ることができます。安心できる居場所は、学校復帰や社会復帰をするための心のよりどころになるはずです。

最後に…

不登校中のすごし方を考えるうえで覚えておきたいのは、不登校そのものをネガティブに捉えないことです。「学校に行かずに家でダラダラしているなんてダメだ。せめてしっかり活動しなければ」と考えてしまう人もいるかもしれません。しかし、登校できなくなってしまうのは、心と体が疲れているというサインです。ですから、まずは十分な休息を取ることを大切にしましょう。ゆっくり休むことも、不登校中には欠かせないすごし方です。また、少しずつ体力や精神力が回復してきてからも「早く学校に戻れるよう、リハビリのためにがんばって何かをやろう」と考える必要はありません。むしろ、「学校に行っていないからこそ、やりたいことをやってみよう」とポジティブに考えてみてください。心からやりたいと思うことを実践しながら自分を見つめ直すことができ、次の一歩を踏み出す準備をしていくことができます。不登校を前向きに捉えたすごし方が、結果的に学校復帰のリハビリにもつながるはずです。不登校の間に心と体をしっかり休ませることができたら、できる範囲で活動を始めてみましょう。独りですごすことに限界を感じたら、適応指導教室、通信制高校のサポート校などを活用するのも有効です。不登校中のすごし方によっては、これまで気づかなかった自分自身の新たな一面に気づくこともあるかもしれません。