発達障害児の療育に生かせる民間資格

目次
はじめに……
児童発達支援士と発達障害児支援士の違い
児童発達支援士の資格取得方法
発達障害児支援士の資格取得方法
最後に……

はじめに……

既に現場で発達障害のあるこどもたちの教育に携わる人にとって、現場でのこどもたちそれぞれの困りごとにどのように対処すればいいのか、それがその場限りの対処でないものかどうか、自問自答する日々だと思います。そんなみなさんは、民間の資格として児童発達支援士や発達障害児支援士というのがあることはご存知でしょうか? 児童発達支援士とは、国家資格ではなく、一般社団法人「人間力認定協会」が認定している民間資格です。同じく、発達障害児支援士も、国家資格ではなく、日本発達障害支援協議会の認定している民間資格です。
現在の教育の現場では、「発達障害児への支援は、専門家に任せた方が良い」という、「分離」の考え方ではなく、「同じ園や学校、クラスの中で個別のニーズに応えよう」という「内包」する考え方、つまり「インクルーシブ教育」がスタンダードになってきています。つまり、クラスを運営する先生にも、発達障害児に対する専門的な働きかけをするスキルが、現場で求められているということです。一方、療育の場として、放課後等デイサービスや学童保育や学習塾での発達障害児やそのご家族への支援は、現場を預かる者にとっては日々たくさんの困りごとに対処する必要が高まっています。
そこで発達障害児やそのご家族に対する支援力を高めるために、民間にも有資格の現場で専門的な知識とスキルの向上させるための講座があるので、以下、紹介します。

児童発達支援士と発達障害児支援士の違い

まず「児童発達支援士」と「発達障害児支援士」といった2つの資格について、それぞれどのような違いがあるのか分からない方は少なくありません。混同している方も多いと思います。
これから資格を取得しようと考えている方の中には、どちらを取るべきか迷っている方も多くいるのではないでしょうか。下記表のそれぞれの項目からその違いについてみていきます。

  児童発達支援士 発達障害児支援士
資格の認定 一般社団法人「人間力認定協会」 四谷学院
受講期限 8か月 1年
学習時間 およそ1週間から1ヶ月 (10時間から20時間程度) およそ6ヶ月 (15時間程度)
学習の内容 療育に関する根本的アプローチ方法 療育に限らず一般的な子育てに関する知識 問題行動への対応テクニックや保護者、子どもへの接し方 特性への対応方法 ソーシャルスキルなど

どちらも療育に関する内容となっており同じ資格と混同されがちですが、全く異なる資格であることを理解しておきましょう。さらに、どちらも受験資格は必要ありませんが、児童発達支援士や発達障害児支援士の講座内容は下記の方を対象に設定しています。

【児童発達支援士の講座内容対象となる方】

・放課後等デイサービス
・学童保育
・学習塾

児童発達支援士の資格取得の際には、学習過程にロープレのトレーニングが組み込まれているため、すぐに実践に役立てられるのが大きなメリットといえます。学習内容は療育に特化しているのが特徴ですが、それだけではなく一般的な子育て知識も習得することができるため、子どもを持つ主婦や学習指導塾の先生、教員、保育士、などにも役立てられる資格です。

【発達障害児支援士の講座内容対象となる方】

・保育士
・小学校教諭
・幼稚園教諭
・発達障害児支援者
・療育従事者

児童発達支援士の資格取得方法

児童発達支援士の資格は、独学で取得することはできません。特別な受験資格などは必要ありませんが、受験のためには認定講座の受講を受け、その後オンライン試験に合格することで取得できます。
認定講座は非常に有益な情報が多く、さらに受講者は毎月意見交換会に参加する特典もあるのが大きな魅力といえます。意見交換会に参加することで、認定講座だけでは得られない現場のノウハウや共通の悩みについての情報を交換できます。
児童発達支援士の試験は、さほど難易度は高くありません。人間力認定協会の理事長ブログによると、2021年7月の時点での合格率は86%ととても高いのが特徴です。
また、児童発達支援士を受講した方へ向けたアンケートの結果、勉強時間は20時間前後が多く、現場で実際に支援に携わっている方や、すでに保育士などの資格を取得している方の場合、10時間前後の学習で合格することも珍しくありません。
一定時間しっかりと学習し、必須となる認定講座を受けていれば比較的簡単に合格できる資格といえます。
児童発達支援士は、特別な受験資格も必要なく、認定講座の受講と勉強をしっかり行うことで合格率が格段に上がる資格です。一般的な子育てにも活用できるため、療育に携わる方以外でも資格取得を目指す方も少なくありません。
放課後等デイサービスなど療育の現場で、プロとして保護者の方に安心してもらうためにも、専門的知識を身につけ、子ども1人1人に合わせた対応ができるように、ぜひ資格を取得しましょう。
学びの姿勢も評価され、現場への就職や転職も有利になる可能性が高いのも、児童発達支援士の魅力といえます。

発達障害児支援士の資格取得方法

発達障害児支援士の資格取得するためには、「発達障害児支援士資格認定講座」を受講しなければなりません。

〇カリキュラム

現場で特別な支援を必要とするこどもに適切な支援をするための理論と実践について網羅しています。あらゆる場面で、「目の前にいる子をどう伸ばすのか」という点から、長年の現場指導の経験から編み出された方法や考え方をわかりやすく学べるカリキュラムとなっています。

発達障害児支援士資格認定講座 学習内容
指導の心得 ・問題行動への対応やテクニックを考える前にすべきこと
・子ども
・保護者への接し方
特性への対応 ・急な予定変更
・初めてのことへの拒否反応への対応
・偏食・同じ行動を繰り返すなどへの対応
・活動参加・学習指導 (集中力が続かない・学習が定着しにくい・文字を覚えられない・板書を写せないなど)
・生活上の困難について (忘れ物が多い、エコラリアなど人とのコミュニケーション)
・運動発達・操作性について など
問題行動への対応 ・パニックの対処法
・勝負へのこだわりが強すぎる
・自傷
・他害
・間違いを認めず言い訳をする など
身辺自立 ・食事 ・トイレトレーニング
・着替え、身だしなみ
・洗顔・入浴、鼻をかむ、など
・時間の概念を養う
・お金についての理解
・体調不良を訴える
・交通機関の利用のしかた など
ソーシャルスキル ・あいさつ
・質問に答える
・報告・相談をする
・伝言をするなどの言葉のコミュニケーション
・適切な声の大きさや周囲の空気を読む
・適切な距離感をつかむなどの社会的スキル など

〇資格認定の流れ

ステップ① 講義動画を自宅(スマホ・PC)で視聴する       
(週末45分×5ヵ月) ※受講ぺースはご自身で調整できます
ステップ② 発達障害児支援士 認定試験(自宅受験)
レポート課題・ケーススタディ課題の提出 ※受講生専用ページにて
ステップ③ 発達障害児支援士資格 取得

最後に……

一概にはいえませんが、主婦や初級・中級者には「児童発達支援士」を、発達障害に関する知識や実績がある方は「発達障害児支援士」を取得することが多いようです。
受講料は、児童発達支援士は37,400円、発達障害児支援士は109,780円となります。
また2021年7月に一般社団法人人間力認定協会が新しい資格認定を開始しました。その名も「発達障害コミュニケーションサポーター」です。「児童発達支援士」に加え「発達障害コミュニケーションサポーター」を学習することで幅広く知識を習得できるようになったと言えそうです。2科目取得しても四谷学院の発達障害児支援士よりもかなり安いのでまた選択肢が増えたと言えそうです。ただ四谷学院の方でも、発達障害児支援士だけでなく他にも発達支援関連の資格や講座があるのでそちらも要チェックです。

ご興味のある方は下記のリンクからアクセスできます。
児童発達支援士・発達障害コミュニケーションサポーター資格
四谷学院の通信講座 発達障害児支援士の資格認定講座