フリースクールってどんなところ?

目次
学校の外にある民間の教育機関「フリースクール」
こどもの主体性を重視した民間の教育機関
フリースクールが増えてきた背景

フリースクールと学校の違い さまざまなタイプのスクール
フリースクールと学校の違い
    学びのスタイルが多様
    個別学習や少人数学習
    年齢の違うこどもたちが一緒に活動する
    こどもたち主体のルール作り
    フリースクールのタイプ
        (1) 安心できる居場所としてのフリースクール
        (2) 学習サポートを中心としたフリースクール
        (3) 医療機関と連携したフリースクール
        (4) 自宅でサポートが受けられるフリースクール
        (5) 独自の教育方針を取り入れているフリースクール

フリースクールを選ぶときに知っておくとよいこと
    フリースクールに通うと学校の出席になる可能性がある
    フリースクールの費用

フリースクールでも小学校卒業資格は得られるのか?
最後に……

「フリースクール」とは実際どのようなところなのか、イメージできないという方も多いのではないでしょうか。ただ、不登校のこどもが年々増え続ける中、フリースクールについて知っておくことは大切です。ここでは小学生で不登校になったときに、どのような学び方ができるのかを紹介します。

学校の外にある民間の教育機関「フリースクール」

近年、さまざまな理由で学校に通えなくなるこどもたちが増えています。学校に通えなくなると、日中の居場所や学習機会が失われるなどのデメリットが生じます。そういったこどもたちをサポートするのがフリースクールです。

こどもの主体性を重視した民間の教育機関

フリースクールは公的な機関ではなく、個人・NPO法人・任意団体などが運営する民間の教育機関です。活動内容はさまざまですが、基本的にはこどもの主体性を大切にした教育が行われています。

フリースクールが増えてきた背景

こどもの不登校は1990年代から増えはじめ、現在では全国で小学生・中学生を合わせて24万人以上のこどもたちが学校に通えなくなっているという調査結果が出ています。フリースクールは、不登校児童の増加とともに2000年代から増えはじめました。不登校のこどもが増加していることを重く見た国や地方自治体も、フリースクールとの連携に取り組みはじめ、不登校対策は「学校復帰」から「社会的自立支援」へと転換されつつあります。また、インターネットの普及の影響もあり、さまざまなスタイルのフリースクールが登場してきています。

フリースクールと学校の違い さまざまなタイプのスクール

では、フリースクールと学校の違いや、フリースクールのタイプなどを見ていきましょう。

フリースクールと学校の違い

学びのスタイルが多様

学校では学習指導要領に則って、学年ごとに授業時間数が決められていますが、フリースクールはそれらの適用はされません。学習内容はこどもに合わせて一人ひとり異なり、学習の遅れがある場合は前の学年に戻るなど丁寧な指導が行われます。また、そのようなときには無理をせず、まずは心身の回復を最優先にするケースもあります。

個別学習や少人数学習

フリースクールでは学校のような集団授業ではなく、個別学習や少人数で学習をするところが多いようです。学校の一斉授業では、内容を理解していない子がいても個別に対応することはなかなかできません。勉強がわからなくなることで自信をなくし、学校に通うのがつらくなってしまう子もいます。そういったこどもには、その子のペースで学べるフリースクールは向いているといえるでしょう。

年齢の違うこどもたちが一緒に活動する

学校では基本的に同じ学年のこども同士で多くの時間を一緒に過ごしますが、フリースクールではさまざまな年齢のこどもたちと過ごすことになります。日常的に年上の子に助けてもらったり、年下の子をフォローしたりする中で、学校では体験できないような学びが得られます。そもそも社会に出たら、同じ年齢の人たちだけの中で過ごすことはあまりありません。その意味で、ごく自然な人間関係を作っていけるのもフリースクールのよいところです。

こどもたち主体のルール作り

学校では定められた規則に従うのが一般的ですが、こどもの主体性を大切にするフリースクールでは、こどもたちが話し合ってさまざまなルールを作っていくことが多いようです。

フリースクールのタイプ

フリースクールにはいくつかのタイプがあります。代表的なタイプについてご紹介します。

(1) 安心できる居場所としてのフリースクール

学校への復帰や勉強を目的とするのではなく、こどもが安心して過ごせる居場所として開かれているタイプです。
先生や仲間たちと過ごす中で、こどもが自信を取り戻し生きる力を蓄えていくことを目的としています。

(2) 学習サポートを中心としたフリースクール

学校に通えなくても勉強は続けたい、反対に勉強の遅れが気になるといったこども向けに、学習サポートを中心としています。時間割が決まっていたり、専科の先生が来て指導してくれたりするところもあります。

(3) 医療機関と連携したフリースクール

不登校のこどもの中には発達障害のある子も多く、医療機関と連携して適切な援助が受けられる体制を整えているフリースクールもあります。たとえば、発達障害の特性が原因で発生しやすい心身の負担を軽減させるため、社会生活をスムーズに過ごしていけるようなスキルを身につけていくトレーニングを行う、といった工夫などがされています。

(4) 自宅でサポートが受けられるフリースクール

学校へ通えない子の中には、外出すること自体が難しい、新しい環境に行く元気が出ないといった子もたくさんいます。そのような場合は、自宅でサポートが受けられるフリースクールを検討してみてはいかがでしょうか。
先生やスタッフが自宅まで来てくれたり、オンラインを通じてこどもとコミュニケーションをとったりするフリースクールがあります。

(5) 独自の教育方針を取り入れているフリースクール

自然の中で生活しながら生きる力をはぐくむところ、芸術・スポーツ・プログラミングなどの技能を学べるところなど、特定のメソッドをもとに教育を行うところもあります。

フリースクールを選ぶときに知っておくとよいこと

フリースクールに通うと学校の出席になる可能性がある

2017年に「教育機会確保法」が施行され、学校以外の場でもこどもが教育を受けられるよう支援を充実させる必要性が法律に明記されました。最終的には在籍校の校長先生の判断になりますが、フリースクールに通うことで学校での出席扱いになるケースも多くなりました。

フリースクールの費用

フリースクールは民間経営のため、塾に通うのと同様に費用がかかります。入会金が5万円程度、授業料が月3万円程度というのが相場といわれています。

フリースクールでも小学校卒業資格は得られるのか?

小学生の場合、フリースクールに通っていても、在籍はもともといた学校ということになります。そのため、卒業するときには在籍校の卒業生という扱いで卒業資格は得られます。また、中学生になってからもそのまま同じフリースクールに通うことも可能です。小学校のときと同様、地域の中学校に籍を置きながら実際に通うのはフリースクールという形になります。

最後に……

学校かフリースクールか、どちらか一方を選ばなければならないということはありません。週2日は学校、残りの3日はフリースクールといった利用の仕方をしているこどももたくさんいます。法律にも「不登校は問題行動ではない」と明記され、不登校に対する考え方は徐々に変わりつつあります。学びの選択肢の一つとして、フリースクールについて考える機会を持てるとよいのではないでしょうか。