「インクルーシブ教育」「特別支援教育」とは何か?

目次
障害のある子が排除されない教育を
一人ひとりの力を高める特別支援教育
    多様な学びの場
    学級・学校の種類

障害のある子が排除されない教育を

最近、インクルーシブ(包括的な)教育ということばが、しばしば聞かれるようになりました。インクルーシブ教育とは、障害のある子もない子も学校で一緒に学ぶことで互いを理解し、尊重しあう共生社会の実現を目指すという考え方のもとに行う教育です。
インクルーシブ教育では、障害のあるこどもが一般的な教育制度から排除されないこと、自分が生活する地域で初等中等教育の機会が与えられること、個人に必要な「合理的配慮」が提供されることが必要なこどもが、ほかの子と同じように教育を受けることができるように、一人ひとりの状態やニーズに応じた教育内容、方法、設備などを整えることを行っています。

一人ひとりの力を高める特別支援教育

インクルーシブ教育を実現するために、現在、障害を超えた交流の場を設けつつ、障害のある子に対しては、障害や発達の状況に応じた学びの場を選択できるよう、小・中学校において通常の学級、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校といった「特別支援教育」が整備されてきています。
特別支援教育では、障害児一人ひとりのもてる力を高め、日常生活や学習するうえでの困難を改善し、克服できるよう指導し、必要な支援を行います。
こどもをどの環境で学ばせるべきか、市区町村の教育相談や就学相談の窓口で相談にのってくれます。

多様な学びの場

インクルーシブ教育や特別支援教育の充実により、障害のあるこどもの教育の場は、以前と比べて格段に、各個人のニーズに合った多様な学びの場を選択できるようになりました。現在、障害のあるこどもの就学先は、「通常の学級」以外に、「通級指導教室」「特別支援学級」「特別支援学校」の4つがあります。通常の学級以外は、それぞれ少人数制で、障害や発達の程度に合わせた指導や訓練が行われています。
通常の学級にも障害のあるこどもは在籍しており、障害があるからといって通常の学級に入れないわけではありません。しかし、1学級40人(1年生35人)のなかで学習することがメリットになるかどうか検討する必要があります(2025年度までに小学校は全学年1クラス35人以下となります)。
通級指導教室は、比較的軽度の障害のこどもが、通常の学級でほかのこどもたちと授業を受ける一方で、週に数時間だけ他校(在籍する学校にあれば校内の別の教室)に行って障害ごとに、障害に応じた授業を受ける教室です。障害があるとは認められなくても、なんらかの困難があるこどもは通うことができます。困っているときには学校に相談することをお薦めします。
特別支援学級はこども一人ひとりの障害の内容や発達段階によって指導が異なる少人数の学級で、全国の多くの小・中学校に設置されています。ホームルームや給食などは通常の学級に参加する場合もあります。
特別支援学校は、普通学校とは別の場所にありますが、学校行事やクラブ活動、ボランティア活動などを合同で行ったり、文通やコンピュータの情報通信ネットワークを活用してコミュニケーションを図ったりするなど障害のある子とない子が相互に交流できるよう、地域ごとにさまざまな試みがなされています。

学級・学校の種類

  通級指導教室 特別支援学級 特別支援学校
特 徴 障害の程度が比較的軽い児童を対象にした特別支援教育です。通級の時間はその子の必要性によって異なります。 障害による学習上や生活上の困難を克服するために設置された学級です。 通常の学級と同様の教育を行うとともに、障害による学習上または生活上の困難を克服して自立を図るために必要な知識・技術を訓練します。重度の障害児にも対応します。
1学級の児童・生徒数 小・中学校は13人につき一人の教員 小・中学校は8人 小・中学校は1学級6人までが基準。高等学校は1学級8人。障害が2つ以上ある児童で編成する場合は3人までとなっています。
対象となる児童・生徒 言語障害児、自閉症、情緒障害、弱視、学習障害、注意欠陥多動性障害、病弱、身体虚弱 知的障害、肢体不自由、病弱および身体虚弱、弱視、難聴、言語障害、自閉症・情緒障害 視覚障害、聴覚障害、知的障害、肢体不自由、病弱者(身体虚弱を含む)
個別の教育支援計画と個別の指導計画の策定 策定義務あり 策定義務あり 策定義務あり
教員の資格 教員免許 教員免許 教員免許・特別支援学校教諭免許