発達障害の早期発見とADDについて

目次
発達障害の早期発見が大事な理由
発達障がいの中でも見逃されることが多いADD
最後に……

 最近よく聞く「発達障害」かもしれないと疑う場合は、しっかりこどもの様子を見ることを心掛けてください。障害という名前はついていますが、発達障害を見つけるというより、こどもに合った育て方を見つけるためにです。こどもに合った育て方を早期におこなうことができれば、こどもの生きづらさはへり、家庭でも困り事への対処が見つかります。

発達障害の早期発見が大事な理由

 ほとんどの方は発達障害の早期発見が大事だと知っているでしょう。けれど、やはり、障害だと思いたくないという想いの方が当然強く、少しの違和感は見逃しがちです。そして見逃されたせいで、「大人の発達障害」という言葉もよく耳にします。大人になってから発達障害と診断を受けた方は、多くの困難を経験しています。しかし、取り戻せない子育ての時間。発達障害の早期発見が大事な理由を改めて考えてみます。

発達障害は二次障害を引き起こす可能性が高い

 発達障害から起こる、ほかの精神疾患を「二次障害」といいます。とくに、うつ病や不安障害になりやすい傾向があります。発達障害児はまわりとくらべて失敗することが多かったり、他人と自分との違いや差に気づいて、自信を失ってしまったりするためです。
 また発達障害による脳機能の偏りがあると、ポジティブな経験よりもネガティブな経験の方が頭に残りやすかったりします。合わない環境だと、「まわりと少し違うだけ」「個性」だけではいられず、精神疾患にかかったり、引きこもりになったりする可能性があります。

大人になってから気づく方が生きづらさや困難がふえる

 「大人の発達障害」という言葉をご存じでしょうか。こどもの頃に発達障害であったことにまわりが気づかず、大人になってから、本人が発達障害だと診断されることです。
 大人の発達障害の方の多くがうつ病や精神疾患にかかり、精神科で明らかになるケースが多いです。さらに重症化しており、環境の改善もむずかしく、十分な治療や対処を受けられていないという現状があります。

成長の機会を逃してしまう

 発達障害児の脳機能について、新たな常識が加わりました。「脳は一生成長する」「脳機能ごとに成長することができる」「脳機能には強みと弱みがある」です。
 たとえば、落ち着きなく一方的に話し続けてしまうこどもがいた場合、嫌だ、または障害だと感じる方もいるでしょう。けれど、それは「人見知りせず話せる」という強みになるときもあります。
 また、この場合、脳の話す機能が発達しているということになります。けれど、まわりが弱みととらえて、「黙って人の話を聞きなさい」と言われ続ければ、こどもは話さなくなり、脳の強みが弱みになります。
 つまり、本人は脳機能の強みを使っているのに、まわりは弱みだと受け取っているような環境だと、こどもの生きづらさをふやしてしまいます。この強みが問題行動だと、とらえられないように、どのような環境が適切か、対処していくことが重要です。そのためにはこどもの様子に注意して、こどもに合った接し方や育て方を知る必要があります。

発達障がいの中でも見逃されることが多いADD

 落ち着きがなく、一方的に話し続けたり、じっとしていることができなかったりする。逆に、まったく話さず、コミュニケーションがとれない。このようにわかりやすい行動があり、まわりも困っている状況だと、発達障害の診断は受けやすいでしょう。けれど、目立った行動がなく、本人の性格にも見えてしまう特性がだと、診断を受けに行こう、対処を知りに行こうとはならないかもしれません。とくにその傾向が強いのが、ADDです。

ADDとは注意欠陥障害

 ADDは「注意欠陥障害」のことであり、今では「不注意優勢型ADHD」と呼ばれています。多動性や衝動性が目立たず、とくに注意力が未発達な状態のことを指します。注意力が不足していると、以下のように特徴として現れます。
・よく物を忘れる・物を失くす
・人との約束や時間を守れない
・同時進行ができない
・集中して人の話を聞けない
・ぼーっとしていることがよくある
・片付けや整理整頓がむずかしい
・スケジュールや金銭管理がむずかしい
 注意力は、一つのことを覚えていたり、その1点に集中したり、一つの目的のために複数の作業をするときにも欠かせないものです。たとえば、部屋を綺麗にするために片づけをするとき、複数の作業をおこないますが、注意力がないと、目的を忘れて別のことをしてしまいます。
 ADDは、本人の性格や気質と思われがちな上に、こどもの頃はそれほど問題にはならない特性です。けれど、大人になったとき、管理ができなかったり、人の話を聞けなかったり、物を無くすこと、約束や時間を守れないことは大きな問題になることがあります。

ADDと本人の性格

 ぼーっとしている子だからと、本人の性格や気質だと受け止めるのは、悪いことではありません。けれど、本人が努力しているにも関わらず、忘れ物をよくしたり人との約束を守れなかったりする場合、こどもには「失敗した経験」として残ってしまいます。
 こどもの頃の失敗した経験は、大人になっても続き、自信を失うおそれがあります。ADDという診断はなくとも、そういった「失敗経験」をへらせるように、こどもに対処の仕方を教えてあげることが大事です。本人の性格だから仕方がないと見逃さず、不注意をへらす対処をこどもに教え、一緒に問題を解決していってください。

最後に……

 発達障害は、大人になってからでは遅く、二次障害を引き起こしていたり、重症化していたりするケースが多いようです。そのため早期発見が重要ですが、多くは本人の性格や気質だとして、何も対処をされなかったりします。その中でも特に見逃されやすいのがADDです。少しでも違和感を持たれたときは、ADDのように本人の性格だからとせず、本人の困りごとをそのままにしないようにしてください。こどもの失敗や困り事への対処を教え、こどもの強みを生かせるように考えていくことが大切です。

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