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必要以上の資金の準備は不要 20歳前傷病による障害基礎年金 特別障害者手当 国民健康保険料と介護保険料はどうなる? 国民健康保険の軽減(2020年度) 無理をしすぎないこと |
自分たちが亡くなった後のこどもの暮らしを心配する親の気持ちはわかります。まして障害があるとなるとなお更です。しかしながら、無理をしてこどもの生活資金を準備しなければならない、ということはありません。むしろ、障害のある人が、多額の小遣いをもっていることで、不要なものまで購入してしまうこともあるといいます。
20歳前に障害を負っていれば、「20歳前傷病による障害基礎年金*」が受給できますし、「特別障害者手当*」といった手当もあります。障害によっては働くこともできるかもしれないからです。
一方、支出については、障害者支援施設に入所していても、不足する分については補足給付によって施設に支払われます。さらに2万5000円は障害のある人の手元に残る仕組みになっています。
グループホームの場合は、家賃、食費、光熱費などの負担が発生します。
親が所有していた家に住む場合は、公的な支援はないので、固定資産税や家の修繕費などの支出の準備は必要になります。
つまりどのようなライフ設計をするかによって、支出は変わってくることになります。
先天性の障害を負っていたり、20歳前に初診日があったりする場合は、「20歳前傷病による障害基礎年金」という年金が受給できることになっています。20歳前は、まだ国民年金への加入義務がないため、保険料の納付要件を満たしていなくても障害基礎年金の受給対象となり、1級か2級の障害等級に該当する障害の状態にある場合に、受給できることになります。
障害認定日は、20歳前に障害認定日を迎えた場合は、20歳になった日が障害認定日とされます。先天性の障害であれば、このケースになります。20歳到達日に1年6カ月を経過していない場合は、初診日から1年6カ月を経過した日になります。
《対象条件》
●重度の身体障害者であること
●20歳以上であること
●在宅で生活していること
特別障害者1人当たり月額手当支給金額…27,350円
《支払時期》…特別障害者手当は、原則として毎年2月、5月、8月、11月に、それぞれの前月分までが支給されます。
申請は住所地の市区町村の窓口で行ってください。
国民健康保険料と公的介護保険料は負担しなければなりません。国民健康保険については、収入が少ない世帯では保険料の均等割額が軽減されます。また、介護保険については、障害者支援施設や障害者総合支援法による療養介護を行う病院などは、介護保険適用外の施設となるため、届出をすればそこに入所している人は保険料を納める必要はなくなります。
もし最低限の生活ができないようであれば、生活保護を受けることも可能です。その手続きは、施設などの職員が手伝ってくれるはずです。大切なのは、親が高齢になる前に、こどもの将来について助言がもらえる社会福祉法人と関係をつくっておくことです。
世帯主と世帯に属する被保険者の前年の所得合計が下の表の諸奥基準以下の場合、7割・5割・2割のいずれかに軽減されます。
所得基準 | 2020年度(令和2年度) |
33万円以下 | 7割軽減 |
33万円+(被保険者×28万5千円)以下 | 5割軽減 |
33万円+(被保険者×52万円)以下 | 2割軽減 |
*市町村によって独自の免除制度がある場合もあります。
《注意点》
●所得が低い場合は自動的に適用されますが、前年の所得を申告している必要があります。
●障害年金を受給していたり、障害者手帳をもっていたりするからといって免除されるということはありません。
障害のあるこどもに、少しでもお金を残したい、残した方がいいと思っている親がいます。もちろん、残すお金があればいいのですが、残さなければこどもが生活できなくなるということはありません。グループホームなどの施設に入っているなら、極端に生活の質が落ちるということもありません。生活保護を受けていれば医療費の負担はありません。こどものために無理をしすぎないようにしてください。