通所受給者証の取得と利用手続きについて

目次
障害児通所支援の受給者証
通所受給者証を取得すると
利用者負担はどうなるのか?
受給者証が申請できる対象

受給者証の申請に必要なもの
受給者証の申請に必要な準備と流れ
通所給付決定の仕組み
支給量とは?
受給者証が届いたら
施設と契約する手続き
重要事項説明書と利用契約書
複数契約をする手順

利用者負担上限額管理について
契約後、施設の利用開始
受給者証の更新

障害児通所支援の受給者証

障害児通所支援を利用するためは、通所受給者証が必要となります。つまり児童発達支援や放課後等デイサービスなどの「障害児通所支援」を利用するために、居住地域の市区町村から交付される証明書を通所受給者証といいます。
通所受給者証にはサービス種別、利用する子どもと保護者の住所、氏名、生年月日、サービスの種類、支給量(利用可能日数)、負担上限月額などが記載されており、この受給者証を取得することで、利用料の9割が自治体によって負担され、1割の自己負担でサービスを利用することができます。
福祉サービス利用のための証明書を「受給者証」というため、「障害児入所支援受給者証」や「自立支援医療受給者証」などさまざまな受給者証があります。以下では、児童発達支援や放課後等デイサービスなどを利用する際に必要な通所受給者証について説明します。

通所受給者証を取得すると

通所受給者証を取得すると、児童福祉法に基づいて運営されている以下の障害児通所支援事業者等のサービスを利用することができるようになります。
児童発達支援: 未就学の児童が対象。日常生活における基本的な動作の指導、知識技能の付与、集団生活への適応訓練その他必要な支援を行っています。
放課後等デイサービス: 6〜18歳の障害児(場合によっては20歳まで)を対象に、生活能力を向上させるために必要な訓練、社会との交流の促進その 他必要な支援を行っています。
ほかにも、児童発達支援と治療を行う「医療型児童発達支援」、居宅を訪問し、日常生活の基本的な動作指導などを行う「居宅訪問型児童発達支援」、障害児以外の児童との集団生活へ適応するための専門的な支援などを目的とした「保育所等訪問支援」等があります。

利用者負担はどうなるのか?

受給者証があると、原則、利用料の9割が自治体から負担され、1割の自己負担でサービスを利用することができます。(施設によっては、別途おやつ代などの実費負担が発生するところもあります)
また、利用者の負担が大きくなりすぎないよう、利用者負担額に上限が設けられています。ひと月あたりの利用したサービスの量にかかわらず、利用者の世帯ごとの所得に応じて以下のように設定されています。
・生活保護世帯・住民税非課税世帯…無料。
・市町村民税課税世帯で所得割額が28万円未満の世帯…負担上限月額4,600円
・市町村民税課税世帯で所得割額が28万円以上の世帯…負担上限月額37,200円
上限額の決定には申請が必要となります。申請時に用意する書類については、居住地域のの市区町村に確認ください。

受給者証が申請できる対象

・身体に障害のある児童
・知的障害のある児童
・精神に障害のある児童(発達障害児を含む)
・障害者総合支援法の対象なる難病の児童
上記に当てはまらなくても、医師などから療育の必要性が認められた児童については、専門家の意見書があれば受給者証を申請できます。必ずしも医学的診断名や障害者手帳・療育手帳が必要というわけではありません。

受給者証の申請に必要なもの

申請に必要な主な資料は以下の通りです。ただし、利用を希望する障害児通所支援の種類や自治体によっても違う場合があるので、居住地域の市区町に確認ください

支給申請書…役所の担当課窓口でもらえたり、自治体ホームページでダウンロードできるところもあります。
マイナンバーを確認できる書類…申請者(保護者)と子どもの両方が必要です。
発達に支援が必要だとわかるもの…療育手帳、障害者手帳、診断書、もしくは医師や臨床心理士等の意見書。
負担上限金額の申請に必要な書類(生活保護受給証明書や市民税非課税世帯証明書など)、 課税や収入状況に関する書類(新しい市区町村に転入して申請する場合)。
障害児支援利用計画案…相談支援事業所へ依頼するか、保護者や支援者が作成するセルフプランも可能です。
印鑑

受給者証の申請に必要な準備と流れ

市区町村や利用を希望するサービスの種類によってもさまざまですが、申請から支給決定まで約2週間、もしくは1~2ヶ月かかるとしている自治体もあります。申請前にやっておくことや手続きの流れを以下説明します。

施設の見学や相談は受給者証がなくても可能です。あらかじめ、利用したい施設を探しておき、空き状況の確認や利用に向けた相談をしておくと、その後の手続きや契約もスムーズです。実際に、事前に施設への見学や相談を行ってから受給者証の申請をするよう呼びかけている自治体もあります

利用したい福祉サービスを決めるため、居住地域の市区町村の担当課、または指定特定相談支援事業所へ相談してください。

申請書をはじめ、各種手帳や医師などの意見書、身元が確認できる書類などをそろえ、市区町村に申請します。申請時に必要な書類の一つに障害児支援利用計画案があります。障害児支援利用計画案は相談支援事業所で利用計画案の作成してもらえます。または、セルフプランとして保護者や支援者が利用計画案を作成することも可能です。自治体によってはホームページからフォーマットをダウンロードすることもできます。

市区町村の担当者と直接面接し、利用条件を満たしているか、希望する利用頻度など聴き取り調査があります。提出された利用計画案や申請書、面接で得た情報などから、支給の要否や支給量などが決定されます。

通所支給の決定通知書、支給量、通所給付決定を行った障害児通所支援の種類、通所給付決定の有効期間などが記載された受給者証が発行されます。

通所給付決定の仕組み

支給申請を受けた市区町村は、面接などの際に、以下のような事項を参考に支給の要否や支給量を決定しています。
・児童の障害の種類や程度、その他の心身の状態
・介護を行う人の状況
・児童や保護者の利用に関する意向の具体的内容
・保健医療サービス、福祉サービス等の利用状況 など

支給量とは?

障害児通所支援を利用できる1ヶ月あたりの日数のことを支給量と言います。支給量は、「児童発達支援」「放課後等デイサービス」「医療型児童発達支援」「居宅訪問型児童発達支援」「保育所等訪問支援」と、障害児通所支援の種類ごとに月の利用日数が定められます。
例えば、児童発達支援と保育所等訪問支援を一緒に申請するなど、市区町村が必要と認める場合には、複数のサービスを組み合わせることも可能です。

受給者証が届いたら

受給者証と、受給者証の支給量などを踏まえて作成した障害児支援利用計画がそろうと、施設と契約することができるようになります。利用を決めた施設へ連絡し、契約に向けた手続きを進めてください。

施設と契約する手続き

施設との契約では、施設が提供しているサービスの内容や災害時など非常時の対応といった重要事項の説明があります。また、親子に面談を行い、支援目標などを確認していくこともあります。契約にかかわる手続きには、大体1、2時間ほど施設が多いようです。
契約当日の流れは以下の通りです。
1.利用契約と、契約に基づく重要事項説明を行います。
2.アセスメント用紙、与薬・医療的処置依頼書などへ記入します。
3.アセスメント用紙の内容から、親子それぞれに面談を行い支援目標設定など確認をします。
以上は代表的な例なので、細かな流れは施設ごとに異なるかと思われます。

重要事項説明書と利用契約書

契約時に目を通すことになる重要事項説明書や利用契約には、主に次のような内容が記載されています。
重要事項説明書…重要事項説明書は、社会福祉法などに基づき、施設が提供するサービスの内容や全体の概要、緊急時の対応について、契約を締結する前に知っておいて欲しいことを施設が利用者側に説明するものです。
利用契約書…利用契約書は、保護者と施設の間で利用の契約を締結するためのものです。主に契約期間や利用するサービス内容、利用者負担額・実費負担額などが記載されています。内容を確認して問題なければサインをします。

複数契約をする手順

受給者証にある供給量の範囲内で複数の施設と利用契約することができます。利用可能な曜日の兼ね合いや療育の内容を充実させたいなど、さまざまな理由で複数の施設を利用するケースもあるはずです。すでに施設を利用している人が、新たに別の施設と併用する場合の契約までの流れを以下説明します。

1.新たに利用を希望する施設を探します。
2.利用したい施設が見つかったら見学・体験などを行います。
3.施設が決まったら、受給者証の申請時に契約した障害児相談支援事業所で、障害児支援利用計画の変更を依頼します。
障害児相談支援事業所を利用していない場合は、居住地域の市区町村で、利用できる障害児相談支援事業所に相談してください。
4.新たな障害児支援利用計画が用意できたら、利用したい施設と契約手続きを行います。

利用者負担上限額管理について

複数の施設と利用契約する場合、月の利用負担(サービスの総費用1割のこと)の合計が世帯の負担上限月額を超えて支払うことにならないよう、施設間で利用者負担を調整する「上限管理」というサービスがあります。
どの施設に管理を依頼するかを保護者が選択し届けを出すと、上限額管理者が利用する施設を代表して請求額の調整を行ってくれます。契約時などに施設に上限管理について確認してみてください。
上限管理者の届け出先は、居住地区の市区町村になります。「利用者負担上限額管理事務依頼届出書」に受給者証を添えて手続きをします。管理者変更の手続きを行うことも可能です。

契約後、施設の利用開始

利用契約完了後、利用開始日から個別支援計画に沿ったサービスを利用できます。

受給者証の更新

受給者証の有効期間は最長1年間です。サービスの利用を継続したい場合は、期間終了前に更新手続きが必要になります。
【受給者証の更新手続き】市区町村によって時期に違いはありますが、受給者証の有効期間が終了する約1~2ヶ月前に、更新に必要な申請書などが送られてきます。継続して障害児通所支援を利用する際には、改めて申請が必要です。支給決定までの流れは、最初の申請時とほとんど同じです。自治体からお知らせが来たら、なるべく早く手続きをしてください。申請を行う際には、すでに交付されている受給者証と申請書など必要な書類を持って、市区町村の担当窓口での手続きとなります。