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教育支援センター(適応指導教室)ってどんなところだろう? 設置の目的 どんなこどもが利用しているのか 利用スケジュールや具体的な指導内容 カウンセリングや保護者会、ソーシャルスキルトレーニング 最後に…… |
こどもが学校に通えなくなってしまった場合、こども本人はもちろん、保護者にもさまざまな不安が生じることと思います。「勉強はどうなるだろう」「今後友達関係を築いていくことはできるか」「学校に戻るタイミングはどのように決めたらいいだろう」など、こどもや保護者の悩みや不安はそれぞれです。ここでは、不登校のこどもと保護者をサポートする「教育支援センター(適応指導教室)」を説明します。
「教育支援センター(適応指導教室)」は、主に小中学校を長期で休んでいるこどものため、学籍のある学校とは別の場所に教育委員会等が用意した公的機関です。一部高校生を受け入れているところもあります。市町村や都道府県の教育委員会等によって設置されているもので、もともとは「適応指導教室」という名称が用いられていましたが、平成15年より「教育支援センター」と呼ぶようになりました。
指導にあたるのは、教員免許を保持する職員、他には臨床心理士や社会福祉士等の資格を保有する職員がいる場合もあります。また、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなど専門家が配置または派遣されている場合もあります。こどもや保護者がカウンセリングを受けるなどの機会を用意している教育支援センターもあります。
令和元年10月25日の文部科学省による「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」では、教育支援センターの定義は以下のように記されています。
○ センターは,不登校児童生徒の集団生活への適応,情緒の安定,基礎学力の補充,基本的生活習慣の改善等のための相談・指導(学習指導を含む。以下同じ。)を行うことにより,その社会的自立に資することを基本とする。
以前は学校に戻ることが、不登校のこどもたちへの支援のゴールとされていました。平成28年の「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」において、不登校支援の視点として「不登校児童生徒への支援は,『学校に登校する』という結果のみを目標にするのではなく,児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて,社会的に自立することを目指す必要があること」が明記され、不登校児童生徒に対する多様な教育機会を確保するための場の一つとして、教育支援センターが位置づけられました。
不登校の理由は、こどもによってそれぞれでます。「友人関係」「勉強が分からない」「先生との関係」「クラブ活動に関する問題」など、学校生活を巡る問題が不登校のきっかけとなったこどもたちが多い一方で、「不安感」「生活の乱れ」「家庭の環境」などを挙げるこどももいます。不登校の理由が複雑化していることが窺えます。そんな中で、教育支援センターに登録している児童・生徒の傾向は、不安や情緒的な混乱によって「学校に行きたくても行けないタイプ」、人間関係がうまく築けないといった「人間関係に困難をともなうタイプ」が多くなっています。また、不登校のこどものなかには、発達障害のある児童が増加傾向にあります。
特性のあるこどもに対する理解の機運は、社会全体として進みつつあるものの、一般的な小学校や中学校では適切な指導や支援がまだまだ不十分なところもあります。そのため、それぞれが抱える課題を克服できず、友達関係がうまく築けなかったり、勉強についていけなくなったりなど問題が生じ、不登校になってしまうケースが増えています。このように、不登校のこどもたちにはさまざまな背景があるため、教育支援センターでの支援も個々にあわせた内容で実施され、学校復帰に限らず、それぞれにあったサポートの在り方が求められています。
全国の教育支援センターは、終日活動している施設がほとんどですが、中には午前のみや午後のみで活動している教室もあるため、ホームページなどで確認が必要となります。
1日の過ごし方はこどもにあわせて調整がされることが多いですが、基本的なスケジュールは決まっているところが多くあります。例えば、1日の流れは以下の通りです。
9:15~朝の会・読書
9:30~個別学習 学習はそれぞれで進め、困ったことがあったら相談員に声をかける
12:00~昼食
13:00~集団活動 スポーツ、調理など
14:15~掃除・帰りの会
14:45~帰宅
通室スケジュールも、個々にあわせて調整されます。少ない頻度から通い始めたり、午後から通室したり、体調にあわせて早退したり、職員と相談し、無理のないペースで通うことができます。活動内容も、学習支援、社会体験、自然体験、調理やスポーツなどが実施され、季節行事を取り入れている施設もあります。学習支援に関しては、ほとんどの施設で個別指導が行われており、一部では授業形式の学習支援をしています。決まったカリキュラムに沿って学習を進めるところと自習を主に行っているところがあり、教材は学校の教科書や持参した市販教材などが使用されます。
多くの施設でこどもとの個別のカウンセリングを取り入れており、相談やカウンセリングが不登校のこどもたちのサポートに欠かせないものとなっています。同時に、保護者に対しても相談・カウンセリングを多くの施設で実施されています。こどもが不登校になったのは、自分の責任であると考える保護者も多く、カウンセラーが話を聞きながら、こどもへの対応のあり方を共に考えていきます。必要に応じて家庭訪問が実施される場合もあります。
施設によっては保護者会やグループカウンセリングなどがあり、同じ境遇の保護者同士が話をすることで、気持ちが楽になる保護者も多いといいます。保護者同士でお互いのこどもへの対応について学び合う機会を提供している施設もあるようです。
発達障害のあるこどもに対しては、ソーシャルスキルトレーニングなどのプログラムを実施している教育支援センターもあります。障害の有無に関わらず、こども一人ひとりの特性や興味関心に沿って、社会性や自信を高める支援をするのが教育支援センターの役割の一つです。
教育支援センターと似ている支援機関にフリースクールがあります。但し、保護者の方がお子さんに「こっちの方があなたに合うからここに行きなさい」と誘導するのはやめてください。教育支援センターもフリースクールも、お子さんのための支援機関です。保護者の方にとっての先入観や出席日数などの条件は一旦置いておいて、お子さんの気持ちを先ずは聞いてみてください。お子さんが「ここに行きたい」「ここなら行けそうだ」と思える施設が、お子さんに合った施設です。不登校のお子さんが自分に合ったサポートが受けられるよう、サポート機関を上手に活用してください。教育支援センターやフリースクール以外にも、不登校のお子さんをサポートする制度やサービスはたくさんあります。お子さんの不登校で悩みを抱えている方は、一人で悩まず、相談機関に連絡してみてください。