法改正に向けての児童発達支援・放課後等デイサービスに係る論点

目次

1.児童発達支援センターの機能強化等
    論点1 児童発達支援センターの機能強化等による地域の支援体制の充実
        検討の方向性(障害特性に関わらず身近な地域で支援を受けられる体制の整備)
        検討の方向性(児童発達支援センターの機能・運営の強化)
2.質の高い発達支援の提供の推進
    論点2 総合的な支援の推進と特定領域への支援の評価等
        検討の方向性(総合的な支援と特定領域への支援)
        検討の方向性(基本報酬の評価)
        検討の方向性(支援の質の向上)
    論点3 関係機関との連携の強化
        検討の方向性(関係機関との連携)
        検討の方向性(事業所間連携)
    論点4 将来の自立等に向けた支援の充実
        検討の方向性(自立等に向けた支援)
        検討の方向性(就労等に向けた支援)
3.支援ニーズの高い児への支援の充実
    論点5 医療的ケア児・重症心身障害児への支援の充実
        検討の方向性(看護職員・認定特定行為業務従事者による支援)
        検討の方向性(重症心身障害児の報酬)
        検討の方向性(入浴支援)
        検討の方向性(送迎支援)
 論点6 強度行動障害を有する児への支援の充実
  検討の方向性
 論点7 ケアニーズの高い児への支援の充実
  検討の方向性(ケアニーズの高い児童)
  検討の方向性(難聴児)
  検討の方向性(視覚・聴覚・言語機能に障害のある児)
 論点8 継続的に学校に通学できない児童(不登校児童)への支援の充実
  検討の方向性
4.家族支援の充実
 論点9 家族への相談援助等の充実
  検討の方向性
 論点10 預かりニーズへの対応
  検討の方向性
5.インクルージョンの推進
 論点11 インクルージョンの推進
  検討の方向性

児童発達支援ならびに放課後等デイサービスの関する法改正に向けて、2023年末段階の検討中の課題を以下にまとめておきました。2024年4月の法改正にどんな論点が協議されているのか、目を通しておくと法改正の変更事項に対してあらかじめ準備ができます。

1.児童発達支援センターの機能強化等

論点1 児童発達支援センターの機能強化等による地域の支援体制の充実

検討の方向性(障害特性に関わらず身近な地域で支援を受けられる体制の整備)

〇 児童発達支援センターの基準・基本報酬について、多様な障害児が身近な地域で支援を受けられる体制、
 整備を促進する観点から、福祉型・医療型の類型を一元化するとともに、福祉型における
 3類型(障害児、難聴児、重症心身障害児)の区分も一元化することを検討してはどうか。

 一元化後の新たな基準・基本報酬は、現行の福祉型(障害児)を参考に設定するとともに、
 難聴児や重症心身障害児について、現行の基準で求めている体制等も踏まえて、
 障害特性に応じた支援を行った場合の評価を検討してはどうか。

 新たな基準等の適用については、一定期間の経過措置を設けることを検討してはどうか。

検討の方向性(児童発達支援センターの機能・運営の強化)

〇 児童発達支援センターの中核機能の発揮を促進する観点から、専門人材を配置して地域の関係機関と
 連携した支援の取組を進めるなど、4つの機能を発揮して地域の障害児支援の中核的役割を担う
 センターについて、中核拠点型と位置付けて、体制や取組に応じて段階的に評価を行うことを検討してはどうか。
 評価の要素として、自治体との連携体制の確保、相談・アウトリーチなど通所支援とあわせて包括的に
 こどもと家族を支援できる体制の確保、専門的な支援や地域と連携した支援の実施等を検討してはどうか。

〇 児童発達支援センターが未設置の地域等において、センター以外の事業所等が中核的な役割を担う場合に、
 中核拠点型のセンターの評価も参考に、一定の評価を行うことを検討してはどうか。

2.質の高い発達支援の提供の推進

論点2 総合的な支援の推進と特定領域への支援の評価等

検討の方向性(総合的な支援と特定領域への支援)

〇 児童発達支援・放課後等デイサービスにおいて、適切なアセスメントの実施とこどもの特性を踏まえた
 支援を確保する観点から、支援において、 5領域(「健康・生活」「運動・感覚」「認知・行動」
 「言語・コミュニケーション」「人間関係・社会性」)を全て含めた総合的な支援を提供することを
 基本とすることを求めることを検討してはどうか。

〇 総合的な支援と支援内容の見える化を進める観点から、事業所において、5領域とのつながりを明確化した
 事業所全体の支援内容を示すプログラムの策定・公表を求めることを検討してはどうか。

〇 児童指導員等加配加算について、専門職による支援の評価は専門的支援加算により行うこととし(次項参照)、
 経験ある人材の活用・評価を推進する観点から、配置形態(常勤・非常勤等)や
 経験年数に応じた評価とすることを検討してはどうか。

〇 専門的支援加算及び特別支援加算について、専門人材の活用とニーズを踏まえた計画的な専門的支援の
 実施を進める観点から、両加算を統合し、専門的な支援を提供する体制と、
 専門人材による個別・集中的な支援の計画的な実施を2段階で評価することを検討してはどうか。

検討の方向性(基本報酬の評価)

〇 児童発達支援・放課後等デイサービスの基本報酬について、発達支援に対するきめ細かい評価とする観点から、
 極めて短時間の支援は算定対象から原則除外するとともに、個別支援計画に定めた個々の利用者の支援時間に
 応じた評価が可能となるよう、支援時間による区分を設けることを検討してはどうか。

 長時間の支援については、延長支援加算を見直し、預かりニーズに対応した延長支援として
 評価することを検討してはどうか(論点10参照)。

検討の方向性(支援の質の向上)

〇 自己評価・保護者評価について、運用の標準化と徹底を図る観点から、基準において実施方法を
 明確化することを検討してはどうか。

論点3 関係機関との連携の強化

検討の方向性(関係機関との連携)

〇 こどもと家族に対する包括的な支援を進める観点から、関係機関連携加算(Ⅰ)について、
 対象となる関係機関に医療機関や児童相談所等を含めるとともに、個別支援計画作成時以外に
 情報連携を行った場合の評価を検討してはどうか。

検討の方向性(事業所間連携)

〇 障害児支援の適切なコーディネートを進める観点から、セルフプランで複数事業所を併用する児について、
 事業所間で連携し、こどもの状態や支援状況の共有等の情報連携を行った場合の評価を検討してはどうか。

 こうした取組を推進するため、セルフプランの場合に、自治体から障害児支援利用計画(セルフプラン)を
 障害児支援事業所に共有、また障害児支援事業所から個別支援計画を自治体に共有して活用する仕組みを
 検討してはどうか。

論点4 将来の自立等に向けた支援の充実

検討の方向性(自立等に向けた支援)

〇 放課後等デイサービスにおいて、こどもの自立に向けた支援を促進する観点から、
 こどもの状態等も踏まえながら、通所や帰宅の機会を利用して、自立に向けた支援を計画的に行った
 場合の評価を検討してはどうか。

検討の方向性(就労等に向けた支援)

〇 放課後等デイサービスにおいて、こどもの自立を見据えた支援を促進する観点から、高校生について、
 学校や地域との連携の下、学校卒業後の生活を見据えた支援を行った場合の評価を検討してはどうか。

3.支援ニーズの高い児への支援の充実

論点5 医療的ケア児・重症心身障害児への支援の充実

検討の方向性(看護職員・認定特定行為業務従事者による支援)

〇 医療的ケア児への支援の促進を図る観点から、認定特定行為業務従事者による支援についての評価の見直しを
 検討してはどうか。

検討の方向性(重症心身障害児の報酬)

〇 重症心身障害児への支援を促進する観点から、主として重症心身障害児を通わせる事業所についての
 評価の見直しを検討してはどうか。

検討の方向性(入浴支援)

〇 こどもの発達や日常生活、家族を支える観点から、医療的ケア児や重症心身障害児に、
 発達支援とあわせて入浴支援を行った場合の評価を検討してはどうか。

検討の方向性(送迎支援)

〇 医療的ケア児や重症心身障害児の送迎支援を促進する観点から、これらの児への送迎について、こどもの医療濃度等も踏まえた評価を検討してはどうか。

論点6 強度行動障害を有する児への支援の充実

検討の方向性

〇 強度行動障害を有する児への支援を充実させる観点から、強度行動障害児支援加算について、
 ・ 児童発達支援・放課後等デイサービスにおいて、支援スキルのある職員の配置や支援計画の
   策定等を求めた上で、評価の見直しを検討してはどうか。

 ・ 放課後等デイサービスにおいて、専門人材の支援の下、強度行動障害の状態がより強い児に
  対して支援を行った場合の評価の見直しを検討してはどうか。

〇 放課後等デイサービスの個別サポート加算(Ⅰ)について、行動障害の予防的支援を充実させる観点から、
  強度行動障害の知識のある職員による支援を行った場合の評価の見直しを検討してはどうか。

論点7 ケアニーズの高い児への支援の充実

検討の方向性(ケアニーズの高い児童)

〇 児童発達支援の個別サポート加算(Ⅰ)について、保護者の負担軽減・事務の効率化の観点から、
    基本報酬に包括化して評価することとした上で、重度障害児への支援を充実させる観点から、
 放課後等デイサービス等での評価も参考に、著しく重度の障害児が利用した場合に評価することを
 検討してはどうか。

〇 放課後等デイサービスの個別サポート加算(Ⅰ)について、行動上の課題のある児への評価について
 見直しを行うとともに(論点6参照)、重度障害児への支援を充実させる観点から、
 著しく重度の障害児が利用した場合の評価の見直しを検討してはどうか。

〇 個別サポート加算(Ⅱ)について、要支援・要保護児童への支援の充実を図る観点から、
 こども家庭センターやサポートプランに基づく支援との連携を推進しつつ、評価の見直しを検討してはどうか。

検討の方向性(難聴児)

〇 児童発達支援・放課後等デイサービスにおいて、難聴児支援の充実を図る観点から、
 児童発達支援センターでの評価も参考に、人工内耳を装用している児に支援を行った場合の
 評価を検討してはどうか。

検討の方向性(視覚・聴覚・言語機能に障害のある児)

〇 児童発達支援・放課後等デイサービスにおいて、視覚障害児や重度の聴覚障害児への支援を促進する観点から、
    生活介護等での評価も参考に、意思疎通に関し専門性を有する人材を配置して支援を行った場合の評価を
 検討してはどうか。

論点8 継続的に学校に通学できない児童(不登校児童)への支援の充実

検討の方向性

〇 継続的に学校に通学できない児童(不登校児童)への支援の充実を図る観点から、
 放課後等デイサービスにおいて、通常の発達支援に加えて、学校との連携の下、
 学校への継続的な通学につながる具体的な支援を行った場合の評価を検討してはどうか。

4.家族支援の充実

論点9 家族への相談援助等の充実

検討の方向性

〇 家庭連携加算(居宅への訪問による相談援助)について、
 訪問支援を促進する観点から、評価の見直しを検討してはどうか。

〇 事業所内相談支援加算(事業所での相談援助)について、家族のニーズや状況に応じた支援の提供を
 促進する観点や、オンラインによる相談援助を推進する観点から、評価の見直しを検討してはどうか。

〇 きょうだいへの支援も促進されるよう、家庭連携加算及び事業所内相談支援加算において、
 きょうだいも相談援助等の対象であることを明確化することを検討してはどうか。

〇 児童発達支援・放課後等デイサービスにおいて、家族の障害特性への理解と養育力の向上につなげる観点から、
 家族が支援場面等を通じて、こどもの特性や、特性を踏まえたこどもへの関わり方等を学ぶことができる
 機会を提供した場合の評価を検討してはどうか。

論点10 預かりニーズへの対応

検討の方向性

〇 児童発達支援・放課後等デイサービスの基本報酬の評価において、支援時間に応じた区分の設定を
 検討すること(論点2参照)とあわせて、延長支援加算を見直し、一定の時間区分を超えた時間帯の支援に
 ついて、預かりニーズに対応した延長支援として評価することを検討してはどうか。

 延長時間帯の職員配置については、安全確保の観点から、2人以上の配置を求めるとともに、
 児童発達支援管理責任者の対応も認めるなど、運用の見直しを検討してはどうか。

5.インクルージョンの推進

論点11 インクルージョンの推進

検討の方向性

〇 児童発達支援・放課後等デイサービスにおいて、併行通園や保育所等への移行等、
 インクルージョン推進の取組を求めるとともに、事業所の個別支援計画等において具体的な取組等について
 記載しその実施を求めることを検討してはどうか。

〇 保育所等への移行に向けた取組を推進する観点から、保育・教育等移行支援加算について、
  移行前の移行に向けた取組についても評価することを検討してはどうか。







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