熱性けいれん(ひきつけ)について

熱性けいれんとは?

主に生後6ヵ月~5歳におこる38℃以上の発熱に伴う発作性疾患で、髄膜炎などの中枢神経感染症や先天性代謝異常など他の原因を除外したもの。治りがよく、後遺症は残しません。
熱性けいれんを起こしたお子さんの2/3が一生に1回きりで終わりますが、1/3は複数回起こします。

症状について

  • 全身性強直性間代性けいれん(全身に力が入って硬直し、のけぞるような姿勢で〝ビクッ、ビクッ〟とリズミカルに手足のつっぱりとゆるみを繰り返すようなけいれんが約1~5分ほど持続します)
  • 38℃以上の発熱
  • 呼びかけに反応しない(意識消失)
  • 白目をむく(眼球上転・偏視)
  • 顔色蒼白、唇の色が紫色になる(口唇チアノーゼ)
  • 呼吸障害や無呼吸、よだれ、泡をふく
  • 尿・便失禁
  • けいれんが止まった後はぼーっとした状態が10~20分持続するか、そのまま眠り込んでしまうお子さんもいます。けいれん後の一時的な麻痺(Todd麻痺)を認めることがあります。

熱性けいれんの原因

熱性けいれんは、発作時の状況やけいれんの状態で診断できます。熱性けいれんと診断がつけば、検査はする必要はありません。熱性けいれん以外の疾患が疑われる場合に検査を行います。

  1. 血液検査:全身状態不良、意識障害が長引く、脳症の鑑別をするとき
  2. 髄液検査:細菌性髄膜炎、脳炎、脳症を疑うとき
  3. 頭部CT/MRI:発達の遅れ、発作後に麻痺が残る、意識障害が長引くとき
  4. 脳波検査:複雑型熱性けいれん、脳症の鑑別、熱性けいれんを繰り返すとき

治療方法について

1.抗けいれん薬

点滴をして抗けいれん薬(ジアゼパム/ミダゾラムなど)を注射します。他、抗けいれん薬の坐剤(ダイアップ®)を挿肛、注射薬を鼻の中へ注入投与する方法があります。

2.予防投薬

以下の適応基準をみたすお子さんへはけいれん発作を抗けいれん薬の坐剤(ダイアップ®)で予防していただくことがあります。

〔予防投薬の適応基準〕

  1. けいれんが15分以上持続
  2. 以下の①~⑥のうち2つ以上みたした熱性けいれんが2回以上反復した場合
    • ①体の一部分や半身だけのけいれん、または24時間以内にけいれんが反復する
    • ②熱性けいれん出現前より神経学的異常、発達の遅れを認める
    • ③熱性けいれんまたはてんかんの家族歴
    • ④12か月未満
    • ⑤発熱後1時間未満での発作
    • ⑥38℃未満での発作

〔方法〕

1回目:37.5℃の微熱を認め時点で坐剤を挿肛します。
2回目:8時間後に再度坐剤を挿肛します。
この2回の投薬でけいれんを起こしやすい発熱後24時間以上を薬剤の有効血中濃度を維持し
予防できます。坐剤は1発熱機会あたり3個以上入れる必要はありません。

対処法について

1.保護者の方がすべきこと

われわれ小児科医がご家庭でのけいれんの現場に居合わせることはほぼ皆無です。したがって、けいれんの鑑別・診断するためには保護者の方の情報のみがたよりです。
そのために以下のことを行って下さい。

  1. 衣服をゆるめます。お子さんの姿勢は仰向けにして顔は左横に向けて下さい。
  2. 布団やタオルケットがお子さんにかかっている場合は、速やかに除去してお子さんの全身が観察しやすい状態にして下さい。
  3. けいれんの様子を観察して下さい。観察のポイントは以下の通りです。
    • ①けいれんが始まった時刻と持続時間を記録する
    • ②呼びかけに反応(振り向く・視線が合う・返事をするなど)があるか
    • ③目の位置(どの方向を向いているか)
    • ④顔色や唇の色
    • ⑤けいれんは全身的か、部分的(右手だけ、左半身だけなど)か
    • ⑥硬直して固まっているのか、リズミカルにつっぱりとゆるみを繰り返すのか
    • ⑦けいれんが止まった後の状態(声を出して泣き出す、そのまま眠ってしまう、目は開いているがぼーっとしているなど)
    • ⑧意識が回復(声を出したり会話ができる、呼びかけで振り向いたり視線が合う)した時刻を記録
      もし、保護者の方の頭が真っ白になってパニックになったら、手持ちのスマートフォンやiPhoneでお子さんの全身が写るように動画を撮影して受診時に持参して下さい。
  4. 受診のめやす
    以下のいずれかが当てはまる時は救急車を呼んでください。
    • けいれんが5分以上続く
    • 意識が戻らない、戻ってもはっきりしない
    • けいれんが止まった後、24時間以内にくり返す
    • 熱がないのにけいれんしている
    • けいれんの後も唇や顔が青紫色のままである
2.やってはいけいないこと
  • 口の中に物や指を入れない。児が舌を噛むことはありません。誤嚥や窒息、歯の損傷や指の咬傷の原因になります。
  • ゆすったり叩いたりしない
  • 抱きしめたりしない。けいれんの様子が観察できなくなります。
  • けいれん中や直後は飲み物や飲み薬を与えない。誤嚥の危険性があります。

最後に……

わが子の熱性けいれんを初めて見た保護者の大半が「うちの子が死んでしまうかも」と思っています。けいれんは一般の人は目にすることがないため、それだけ衝撃的な出来事であり、親御さんは頭がパニックなりどうしていいかわからなくなります。慌てたときは動画撮影をしてみてください。「けいれん」と「寒気・震え」はなかなか区別がつかないものです。簡単な見分け方は、「けいれん」は意識がなくなること、リズミカルな動きで2~3分以上は持続し、大人の力で押さえても止まらないことです。逆に呼びかけに反応があり、ガタガタ…と小刻みな動きで数秒~1分未満で止まるのは「寒気・震え」です。参考にしてみてください。







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