助成金・補助金をうまく利用する
現在、放課後等デイサービスの分野では、経営悪化に悩む事業所が少なくない状況です。その背景には、新型コロナウイルスによる影響などが考えられます。今後の事業運営や開業には、資金面での支援が必須といえるでしょう。そこで助成金や補助金をうまく活用することが推奨されます。
助成金や補助金とは、主に国の各省庁や自治体が中心になり、企業や団体などの事業を支援する制度です。原則的に返済の必要はありませんが、一定の金額を無条件に支給する制度ではありません。支給には要件があり、事業者が行おうとする事業にかかる費用の一部が援助される仕組みです。また、中には人材確保のため、支給額のすべてを従業員の給与に充当できるような支援制度もあります。これから新規に事業所を開設する場合や、経営改善の取り組みを始める場合などには、助成金や補助金が非常に役立つことはいうまでもありません。
【助成金と補助金の違い】
助成金と補助金との違いを簡単に説明しておきます。助成金は、基本的に申請の条件を満たしていれば、多くの場合審査不要で支給されます。一方の補助金には申請できる要件があり、それを満たした上で応募して審査が通過すれば支給されます。
助成金と補助金には、非常に多くの種類があります。その中から、放課後等デイサービスが活用できる制度をピックアップして、以下紹介します。
主な助成金
放課後等デイサービスでは、従業員の人件費がかさんでしまいがちなことから、雇用に関する助成金制度が主な助成金となっています。以下、概要を紹介します。
①人材確保等支援助成金
この助成金は、魅力ある職場づくりと労働環境の向上を図る事業所が対象です。7つのコースがありますが、放課後デイが対象であるコースの1つが「雇用管理制度助成コース」です。
申請するには雇用管理制度を導入して、従業員の離職率低下に取り組む必要があります。具体的には対象になる要件を満たした上で、雇用管理制度整備計画を作成して提出後、目標達成が認められた時点で57万円(生産性要件を満たす場合は72万円)の助成金が支給されます。
詳しくは、こちらを参照してください。⇒厚生労働省「人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)」
②キャリアアップ助成金
契約社員や派遣社員などの非正規雇用者を正規雇用者として契約し直すなど、従業員のキャリアアップに対して支給される助成金です。申請には対象要件を満たすことと、キャリアアップ計画を提出することが必要となります。支給額は285,000円から57万円まで3段階に分かれています。
詳しくは、こちらを参照してください。⇒厚生労働省「キャリアアップ助成金」
③働き方改革推進支援助成金
主に職場環境の改善を対象に支給される補助金です。働き方改革推進支援助成金の「労働時間短縮・年休促進支援コース」では、時間外労働の縮減を目標設定し、目標の達成度に合わせて助成金が支給されます。「労働時間適正管理推進コース」や「勤務時間インターバル導入コース」、「テレワークコース」などがあります。
詳しくは、こちらを参照してください。⇒厚生労働省「働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)」「労働時間適正管理推進コース」「勤務間インターバル導入コース」「テレワークコース」
主な補助金
現在様々な補助金の募集が行われていますが、募集開始日と期限があり申請書類も多いので、事前に計画を立てて申請準備をする必要があります。ここでは放課後等デイサービスが活用しやすい、2つの補助金を紹介します。
①小規模事業者持続化補助金
経営改善や業務効率化への取り組みを対象に、最大50万円までで費用の3分の2が支給されます。施設の改装や宣伝活動に利用できるため、積極的に収益の拡大を目指す事業所に向いています。
詳しくは、こちらを参照してください。⇒商工会議所地区「(令和元年度補正予算・令和3年度補正予算)小規模事業者持続化補助金(一般型)」
②IT導入補助金
IT導入やソフトウェアの購入に対して、業務効率化を目標に経費の一部を支援する補助金です。基本的には経費の2分の1が補助されますが、いくつかのタイプがあり、上限額は30万円~450万円です。ITシステムを導入することで、事業所内での業務効率化と、高収益化を目指すための基盤づくりが可能になるかもしれません。
他にも、特別支援学校などが新型コロナウイルスの影響などにより臨時休業し、放課後等デイサービスの利用が増加した場合には、さまざまな経費の2分の1を国が負担する事業も継続して実施されています。新型コロナウイルスに関しては、多くの支援制度が実施されているので、地元の自治体などに相談することをお勧めします。
詳しくは、こちらを参照してください。⇒IT導入補助金2022「IT導入補助金について」
最後に…
助成金と補助金の支給対象は、一定の要件が満たされていなければなりません。また一般的には、補助金のほうが支給に至る難易度が高いといわれています。
現在もさまざまな助成金と補助金の事業が行われていますので、今後の経営規模拡大や経営効率化に向けて、ぜひ目的に合った制度を活用してみてください。