児童発達支援管理責任者のように管理者になるため、なにがしかの資格が必要と思われるかもしりませんが、放課後等デイサービスの管理者に資格は必要ありません。ここでは具体的にどのような業務を行っているか説明します。
放課後等デイサービスを運営するにあたって必要な設備及び備品を適切に備えます。ひとくちに放課後等デイサービスといっても様々な障害のある子どもが通所するため、みんなが安全に過ごすために施設をバリアフリー化するなど、それぞれのこどもに応じた工夫が必要です。また、こどもや保護者が安心して放課後等デイサービスの支援を受けるために、事業運営で想定される様々なリスクに対して、訓練や対応マニュアルの策定、関係機関・団体との連携等を行う必要があります。新型コロナを代表とした感染症や災害時の対策、こどもの健康状態の急変時、犯罪発生時の備えをすることで、非常時にも落ち着いた対応をとることができます。
【設備基準】
機能訓練室 | ・定員は、おおむね10人 ・1人当たりの面積が2.47㎡以上 ・訓練に必要な機械器具や必要な設備を備えること |
遊戯室 | ・1人当たりの床面積は、1.65㎡以上 |
屋外遊技場、医務室、相談室 | 主として重症心身障害児を通わせる場合は設けないことができる。 |
調理室・便所 | |
静養室 | 主として知的障害者を通わせる場合 |
聴力検査室 | 主として難聴児を通わせる場合 |
その他、指定児童発達支援の提供に必要な設備及び備品 |
こどもの発達支援は、保護者や学校をはじめさまざまな関係者のもとで成り立っており、放課後等デイサービスもその一員です。関係各所との連携をとりながら、放課後等デイサービスに期待される役割を適切に認識することも、適切な支援を提供し支援の質を高めていく上で重要です。
従業員の知識・技術の向上は、放課後等デイサービスの提供内容の向上に直結するため、管理者の重要な管理業務の一つです。 人材の知識・技術を高めるために研修の機会を確保するとともに、知識・技術の習得意欲を喚起することが重要です。また、職員一人ひとりの考え方や人間性を把握し、職員としての適性を評価し、労働環境を整備します。施設運営では預かっている児童が大切ですが、児童を支援してくれる職員たちを育て、より魅力的な施設を目指していく必要があります。
放課後等デイサービスを利用する保護者から、時には苦情や相談を受けることがあります。放課後デイサービスは、それぞれに必要な個別支援を行う場所です。ひとりひとり目標や課題が異なるため、児童にとってどんなことが「挑戦」や「学び」になるのか、職員と保護者が一緒に考えていけるような管理者を目指していきましょう。こどもや保護者の満足感、安心感を高めるためには、こどもや保護者に対する丁寧な説明を常に心がけ、保護者の気持ちに寄り添えるよう積極的にコミュニケーションを図ることが必要です。
放課後等デイサービスの管理者の仕事は、職員の管理や外部との連絡、利用申し込みの調整など、事業所の管理業務が主なものです。多くの場合、児童発達支援管理責任者(児発管)が兼任していることが多いようですが、業務に支障が出ないように兼務をすることがありますが、「人件費削減できるから」という理由だけで安易な兼務はしないようにしてください。
児発管が管理者を兼任している場合は、支援計画の作成が負担になることもあります。児童ひとりひとりにとっての目標や課題が何か、実際に児童の教育を行なう保育士などの職員たちにとっても無理のないような計画を作成する必要があるため、支援計画を作る児発管が周りに頼れる環境が必要です。
ひとりひとりに必要な個別支援を行なうのがデイサービスです。しかし、時にはそれぞれに合った支援の方法がわからなくなる時があります。そんな時は、ご家族や児童発達支援管理責任者と相談しながら適切な支援を検討してください。
デイサービスの運営では、個別支援計画を作成する児童発達支援管理責任者が非常に重要な存在になります。児発管の質によって施設運営が大きく左右されるため、規定の人員を配置するための児発管ではなく、こどもたちのことを考えられる人材を採用してください。現状、実務経験や研修を受ければ児発管になることができてしまう事実もありますので、しっかり見極めることが大切です。
放課後等デイサービスの管理者は、児童を預かる責任者のため、当然責任がつきまといます。ときには児童がケガをしてしまう可能性もあります。施設全体の責任者として様々な場面で責任が問われることがありますが、それは「責任者」として働くうえでは誰しも抱える悩みです。そんな時は自分が何のためにデイサービスを起業したいと考えたのか思い出してみてください。一度原点に立ち戻って考えることで、やりがいを感じることができるはずです。
一般放課後等デイサービスと重症心身障害児放課後等デイサービスの人員配置基準
放課後等デイサービスは児童福祉法に基づいて許認可される事業です。なによりも児童が安全に過ごせる居場所を提供するために、人員配置基準が定められています。以下が必要な人員配置となります。
②児童発達支援管理責任者
③保育士or児童指導員
④機能訓練担当職員
⑤看護職員
上述しましたのでここでは省きます。
児童発達支援管理責任者とは、児童の特性やご家族の意向を踏まえて「個別支援計画」を作成し、支援に関して中心的な役割を担う人のことです。それぞれの児童やご家族のご意向に沿った計画を考える必要があるため、非常に重要な役割といえます。
下記のような資格を持った人が一定の実務経験を経て、「相談支援従事者初任者研修」と「児童発達支援管理者研修」を修了すると、自発管の資格を得ることができます(一部例外有)。
・保育士
・児童指導員任用資格
・社会福祉主事任用資格
・精神障害者社会復帰施設指導員任用資格
・介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)以上
・医師・歯科医師・薬剤師・保健師・看護師・助産師・准看護師
・理学療法士・作業療法士
・社会福祉士・介護福祉士
・精神保健福祉士
・視能訓練士・言語聴覚士・義肢装具士
・歯科衛生士
・あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師・柔道整復師
・管理栄養士・栄養士
実務経験要件については、保有している資格によって実務経験年数に差があり、研修終了要件については基礎研修+OJT+実践研修となっています。また継続して児発管を務めるためには、5年ごとに更新研修の受講が必要となります。
保育士や児童指導員が実際に児童に対して直接支援を行う職員のため、人員配置のベースとなります。職員のうち、半分以上は保育士か児童指導員でなければなりません。
1名以上は常勤である必要があり、児童の人数が10名までであれば2名以上、10名を超える場合は5名ごとに保育士か児童指導員を1名増やす必要があります。
重症心身障害児放課後等デイサービスの場合は1名以上の配置でも大丈夫です。
一般放課後等デイサービス | 重症心身障害児放課後等デイサービス |
1名以上は常勤 10名までの児童に対し2名以上 10名を超える場合は5名ごとに1名増員 |
保育士または児童指導員どちらか1名の配置 |
機能訓練担当職員とは、身体的機能の改善や減退を目的とした訓練を行う場合に設置が必要となる職員のことです。児童一人ひとりに合わせた訓練方法が必要となります。児童発達支援管理責任者が発案し、機能訓練担当職員が実行することになります。
一般放課後等デイサービス | 重症心身障害児放課後等デイサービス |
機能訓練を行う場合には必要 | 1名以上の配置が必要 |
看護職員は、重症心身障害児を受け入れる場合のみ設置しなければなりません。そのため、一般放課後デイには配置義務がありません。が、重心児放課後デイの場合は必要となります。
放課後等デイサービスは、障害を持ったお子さんが将来少しでも生きやすくなるよう、必要なスキルを指導する場であり、家庭と学校以外の居場所であり、保護者が相談する場です。最後に放課後等デイサービス運営の秘訣を述べてこの項を終わることにします。
放課後等デイサービス運営の秘訣は、3つあります。
放課後等デイサービスの利用は、保護者の口コミで増えていくといいでしょう。良い口コミを広めてもらうためには、質の高い療育をするしかないのです。中途半端なことをしていては、増えるものも増えません。療育の質を高めるには、療育に対して向上心のある児童発達支援管理責任者が必要なのです。
職員も児発管と同様、ただの人数合わせでは上手くいきません。児発管の持つ療育の方向性を理解し、向上心を持って療育に従事できる人材を雇う必要があります。いかに療育への気持ちを持った人を集められるかで、良質な事業所を作れるかが決まります。
もし療育の経験のない管理者なら、療育に関しては全面的に児童発達支援管理責任者に任せてみてください。最低基準の人員配置では質の高い療育はできないので、基準以上の職員を配置し購入物品の選別もケチらないでください。