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はじめに 短期入所(ショートステイ)とは 利用ができる対象 利用日数や年齢は 利用するためには区分認定と受給者証が必要 区分認定・受給者証を得るまでの流れ 一泊の利用料金 最後に…… |
自宅で暮らす障害者の家族が病気で倒れたときなどに、一時的に施設へ入所するのが「短期入所」というサービスです。「ショートステイ」とも呼ばれています。
「短期入所」のサービスの内容、対象、利用できる期間、利用までの準備するものから手続きの流れなどについて詳しく説明します。
短期入所とは、自宅で暮らす障害者が短い期間に限って施設へ入所するサービスです。家族が怪我や病気をしたとき、結婚式やお葬式に参加するのとき、家族にもお休みが必要なときなどに利用することができます。
多くの場合、障害者支援施設(入所施設)が短期入所のサービスを実施しています。また、一部のグループホームや宿泊用の部屋を備えている通所施設などでも実施しています。
《サービスの主な内容》
障害者支援施設や児童福祉施設、その他の「入所施設」などにおいて、次のサービスを提供します。
1. お風呂、トイレ、食事、着替え、移動などの介助
2. 見守りやその他必要な支援
サービスを提供する事業所には3つの形態があります。
1. 「併設事業所」障害者支援施設(入所施設)に併設された短期入所事業所
2. 「空床利用型事業所」障害者支援施設(入所施設)の利用されていない居室を利用して行う
3. 「単独型事業所」障害者支援施設(入所施設)以外に設けられた短期入所専用の事業所
短期入所は、障害者総合支援法の「介護給付」という区分に含まれるサービスで、利用のルールは国が定めています。「介護給付」とは、日常生活におけるさまざまな介護や援助を必要とする人が使うサービスを指します。
短期入所を利用できるのは、障害支援区分「1以上」の障害者と、市町村が利用を認めた障害児です。短期入所の事業所は、主に受け入れる障害や医療的ケアの必要性によって「福祉型」と「医療型」に分かれます。
〇障害支援区分とは?
障害支援区分は「非該当 / 1 / 2 / 3 / 4 / 5 / 6 」の7段階に分かれています。最も支援が必要な人が「6」になり、数字が小さいほど支援の必要性が低いという判定です。介護給付は、障害者手帳の等級ではなく、障害支援区分の判定結果により、サービスが利用できるかどうかが決まります。
医療的ケアの必要性が少ない人は「福祉型」施設を利用します。「福祉型」施設とは、障害者支援施設(入所施設)やグループホームなどです。
重症心身障害の人や遷延性意識障害、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の人などは「医療型」施設を利用します。「医療型」施設とは、病院など医療機関や介護老人保健施設(老健施設)などです。
〇対象者
「福祉型」施設(障害者支援施設など)
1. 障害支援区分が区分「1」以上である障害者
2. 障害児に必要とされる支援の度合に応じて厚生労働大臣が定める区分「1」以上に該当する障害児
「医療型」施設(病院、診療所、介護老人保健施設など)
遷延性意識障害児・者、筋萎縮性側索硬化症等の運動ニューロン疾患の分類される疾患を有する者及び重症心身障害児・者
通常、ショートステイの利用日数は原則として月30日までとなっています。ただ実際には、こどもの場合は月30日も利用できないケースが多いです(判断は自治体によって異なる)。例えば「月10日まで利用できる」「月15日以内の利用が可能」などのように異なるので注意が必要です。
成人であれば、月30日のショートステイを許可されるのは普通です。一方、児童では、月7~15日などの許可となるケースがよくあります。
なおショートステイを受け入れる事業者側についても、「15日まで利用可能」などのように制限を設けていることもよくあります。また小学校一年生から利用できたり、10歳から利用できたりなど、受け入れ施設によって年齢の判断が異なります。
・医療的ケアの必要性
また障害児によって、医療的ケアが必要かどうかでも違ってきます。医療が必要場合、一般的な短期入所施設ではなく、病院併設や看護師が常駐している施設など、利用できる施設が限られてきます。障害の程度や状況によって利用可能な施設が変わると考えてください。
そこで障害をもつこどもの短期入所を利用する場合、まずは区分が必要となります。役所で手続きを行い、医師意見書(診断書)の提出や聞き取り調査が行われることにより、区分認定がなされます。
ショートステイをこどもが利用するときの区分については、「障害児に係る厚生労働大臣が定める区分」を利用します。区分は以下のようになっています。
区分3:食事・排せつ・入浴・移動のうち、3つ以上が全介助
区分2:食事・排せつ・入浴・移動のうち、3つ以上が全介助または一部介助
区分1:食事・排せつ・入浴・移動のうち、1つ以上が全介助または一部介助
区分は1~3まであり、数字が大きいほど重度です。知的障害者や精神障害者、身体障害者、難病患者で障害福祉サービスを利用できますが、障害の程度を区分によって表すのです。医療機関で行う短期入所(医療型短期入所)は、重症心身障害児が利用可能となります。
なお区分認定されたら、「短期入所」と記された障害福祉サービス受給者証を交付してもらってください。
短期入所を利用するためには、区分1以上である必要があります。また障害福祉サービスを利用するためには、障害福祉サービス受給者証が必須となります。
これらの手続きをしていない段階で短期入所サービスを提供する事業所を探しても意味はありません。先に区分認定と障害福祉サービス受給者証を得るようにしてください。
短期入所を利用するために、まずは市町村の福祉の窓口に相談をしましょう。そして「サービスの利用申請」「障害支援区分の判定」「サービス等利用計画の作成」「市町村の支給決定と受給者証(通知決定)の受け取り」という4つの手続きを進めることになります。この手続きは最大で2ヶ月ほどかかります。18歳未満の障害児の場合には子育て支援の窓口が対応することもあります。
〇市町村での手続きの流れ
①市町村の福祉の窓口でサービス利用申請
(福祉の窓口に行って「ショートステイのサービスを使いたいです」と伝えてください)
↓
②障害支援区分の判定
↓
③サービス利用計画の作成
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④市町村の支給決定と受給者証の受け取り
受給者証を受け取ったあとに自動的にサービスが使えるわけではないので、短期入所のサービスを提供している事業所と利用契約を交わしてください。事業所と契約をするときには、受給者証を忘れずに持参してください。
どの事業所と契約をするかは自分で選ぶことができます。事業所を訪ねて雰囲気を確認したり、どんな風にサービスを受けられるのか話を聞いたりしてから選んでください。
障害児がショートステイを利用するときの費用はどれくらいなのでしょうか。障害福祉サービスは1割負担です。そのため、短期入所を利用するにしてもサービス料は格安になります。
ただ実際に宿泊する場合、介護職員によるサービス料だけでなく、食費や水道光熱費、日用品代など、その他の費用もかかります。こうした費用は実費になるため、全額を負担しなければいけません。
こうした実費を含めても利用料金は、一日あたり2000~3000円ほどになると考えてください。
一般的なホテルと比べた場合、ショートステイを利用すると非常に値段が低く抑えられます。しかも介護職員による補助付きであるため、理由があってこどもを預けたい場合は短期入所がお薦めです。
短期入所は、障害児にとって使い勝手の良い障害福祉サービスです。自治体によって利用可能日数は異なりますが、月に7日や15日など利用できるようになります。区分1以上が要件であるため、ほとんどの障害児は利用できます。空きがないケースはよくあるため、複数の事業所と契約するのは問題ありません。
障害児にとって有益なサービスの一つが短期入所(ショートステイ)です。事情によって親が障害をもつこども・児童を預けたい場合、障害福祉サービスのショートステイを利用してみてください。