保育士

目次
1.児童発達支援・放課後等デイサービスにおける仕事内容とは?
2.個別支援計画に基づいて子どもたちの生活をサポート
    事務作業、送迎等
    施設での1日の流れ
3.保育士資格を取得するには
    試験内容とは…
        《筆記試験》
        《実技試験》
        《学習方法》
    国家試験の難易度、合格状況について
4.最後に…

保育士の職場は保育園ばかりとは限りません。放課後等デイサービスや児童発達支援といった、障害のあるこどもなどを対象とする施設での需要が近年ますます高まっています。ここでは、障害児の福祉に携わる保育士についてご紹介します。

1.児童発達支援・放課後等デイサービスにおける仕事内容とは?

児童発達支援と放課後等デイサービスは、ともに障害のあるこどもに関わるサービスです。どちらも同じように通いで利用できる支援サービスに違いはありませんが、対象となる年齢が異なります。
児童発達支援は、未就学児を対象としています。放課後等デイサービスは、原則小学生から高校生までを対象とします。対象となる年齢は違うものの、仕事内容の基本的な部分は似ているところがあります。

2.個別支援計画に基づいて子どもたちの生活をサポート

個別支援計画は、児童の成長のために何が必要なのか、どうやってサポートしていくのかが記載されており、目標と期限を決めて実施するためのものです。
社会生活を送る上での基本や学習の手助けなどを行い、時にはこどもと一緒に遊んだり相談相手になったりもします。障害のあるこどもに対して、社会的な自立を目指し行う治療や教育は「療育」と言います。障害の種類や程度、発達段階によって必要な支援は異なるため、専門的な見地から適切なアプローチによって療育は行われています。療育はもともと、身体的に障害のあるこどもを対象としたものでしたが、今は発達障害などの児童も療育の対象なっています。

事務作業、送迎等

児童の様子や個別支援計画の実施について活動記録を作成したり、通所系の施設は送迎を実施したりします。

施設での1日の流れ

ここでは放課後等デイサービスでの一般的な一日の業務の流れについて紹介します。
《放課後等デイサービスの1日の流れ(平日版)》
放課後等デイサービスは、原則小学生から高校生までを対象としているため、平日は学校が終わってからサービスを利用することとなります。

14:00 送迎、到着 (下校時間ごとに順次)
健康状態の確認、宿題や遊びなど
15:30 個別支援
16:00 おやつ、集団遊び
17:30 片付け、帰りの会
18:00 送迎

このスケジュールはあくまでも一例です。実際のスケジュールは事業所ごとに異なるため、各事業所のホームページ等から確認することをおすすめします。

3.保育士資格を取得するには

保育士は国家資格です。国家試験を受験して取得する方法と、保育士養成校の卒業とともに取得する方法の2通りのルートがあります。養成校に通えば、国家試験を受ける必要はありません。卒業が認められれば、そのまま保育士資格も得ることができます。

【試験概要】

主催団体 一般社団法人全国保育士養成協議会
受験資格

①4年制大学、短期大学、専門学校を卒業した方、および卒業見込みの方
②4年制大学に2年以上在学し、62単位以上の単位を取得した方、および取得見込みの方
③平成3年3月末までに、高等学校を卒業した方
④平成8年3月末までに高等学校保育科を卒業した方
⑤児童福祉施設において中学校卒業後5年以上、また高等学校卒業後2年以上、児童の保護に従事した方
⑥都道府県知事が適当な資格があると認めた方
※受験資格につきましては細かい規定がありますので、必ずご自身にて一般社団法人全国保育士養成協議会にご確認のうえ、お申し込みください。

試験日 前期 筆記試験:4月 実技試験7月
後期 筆記試験:10月 実技試験:12月
申込方法

「一般社団法人全国保育士養成協議会」または、「各都道府県の保育士担当課」に問い合わせの上、保育士試験の受験の手引きを入手し、必要書類を揃えて郵送にてお申し込み。
※前期を受験した方のみ、後期はインターネットによる受験申請が可能。

申込期間 前期 1月
後期 7月
※年によって異なりますので、詳しくは主催団体のHPをご確認ください
受験料

12,950円(内訳:受験手数料12,700円+受験申請の手引き郵送料250円)

制限時間 筆記試験:1科目1時間(全9科目)
実技試験:選択する科目(音楽、造形、言語)によって異なる
合格基準 筆記試験はマークシート形式、満点の6割以上得点すると合格
実技試験は1分野50点満点中30点以上得点することで合格
合格発表

前期 筆記試験:6月 実技試験:8月
後期 筆記試験:11月 実技試験:1月
※年によって異なりますので、詳しくは主催団体のHPをご確認ください

お問い合わせ先

一般社団法人全国保育士養成協議会
http://www.hoyokyo.or.jp/exam/

〒171-8536東京都豊島区高田3-19-10
フリーダイヤル:0120-4194-82
(オペレーター対応は祝日を除く月~金9時30分~17時30分)
(他の時間帯は自動音声によるご案内となります。)

一般社団法人全国保育士養成協議会
http://www.hoyokyo.or.jp/exam/

試験内容とは…

試験は、筆記試験と実技試験が年2回あります。筆記試験をクリアした人のみ実技試験へと進みます。合格科目が有効になる3年間でみると、合計6回もチャンスがあります。

《筆記試験》

試験科目は9科目で全160問です。全9科目それぞれ60%以上の得点が必要です。試験形式は全科目マークシート形式です。
全9科目……保育原理、教育原理、社会的養護、子ども家庭福祉、社会福祉、保育の心理学、子どもの保健
子どもの食と栄養、保育実習理論

《実技試験》

実技試験は、下記の3科目のうち2科目を選択し受験します。
A.音楽表現に関する技術……課題曲の弾き歌い(ピアノ、ギター、アコーディオンから選択)
B.造形表現に関する技術……指定された場面を制限時間内に絵画で表現
C.言語表現に関する技術……あらかじめ指定された物語を口話で披露

《学習方法》

通信講座:独学での学習に不安がある方や、集中して苦手な科目だけ勉強をしたい方におすすめです。テキスト等を中心に自宅での学習をマイペースに行うことができます。家事や育児、仕事と両立しながら勉強したい人にも多く選ばれる方法です。
独学:学校に通う時間が取れず、経済的な事情で通学するのが難しい場合は独学も良いでしょう。テキストなど最低限必要なものを揃えてマイペースに始めることができます。過去の問題等を利用しながら、仕事や家事、育児の合間に勉強する人も多いです。
スクール:一定期間集中して勉強したい方におすすめです。開講している学校によりコースやスケジュールは異なります。通学、オンラインのどちらかから選べる学校もあるため、状況に応じて選んで下さい。

国家試験の難易度、合格状況について

保育士試験の合格率は、毎年10%~20%で推移しており、数ある国家資格の中では狭き門であると言わざるをえません。しかし、筆記試験は一度合格した科目は3年間有効となるため、筆記試験で落ちてしまっても次の年は苦手な科目に集中することができます。
保育士養成校に通学し卒業すると同時に国家資格がもらえる人に比べると、国家試験を受験する人はハードルが高いと言えますが、それでもコツコツと勉強を重ねて取得する人もいます。

4.最後に…

放課後等デイサービスを利用するこども達は、障害の程度や病気の種類などさまざまです。幼稚園や保育園に比べると利用人数は少ないですが、そのぶん小規模で関係性を築きやすいのが特徴です。
一般的な保育の知識だけでなく、障害や病気のことを幅広く知り関わる必要性があり、毎日が勉強の連続かもしれません。しかし、一人ひとりに合った関わり方が見つけ、成長する姿を見ることができれば大きなやりがいを感じるはずです。
キャリアアップの選択肢として、児童発達支援管理責任者(児発管)という職種があります。児童発達支援管理責任者は、児童発達支援施設のリーダー的な役割を担う存在です。個別支援計画書の作成や保護者との面談、職員への指導などより責任ある仕事が任されるようになります。実務経験を重ね、さまざまな要件を満たして得ることができるため、キャリアアップにはぴったりと言えるでしょう。